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コラム

日系エレクトロニクス企業が進むべき方向、2011年を振り返って

2011/12/21 15:03
南川 明=アイサプライ・ジャパン
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 2011年3月11日の東日本大震災、円高、タイの大洪水と、日系エレクトロニクス企業は最悪の環境下での一年を過ごした。東日本大震災とタイの大洪水によってサプライ・チェーンの再構築が進む、円高によって製造の海外シフトが加速している。特に、これまで海外シフトが少なかった素材系の企業が、サプライ・チェーンの見直しに動いている。しかし、震災や円高のリスクを回避するためだけに海外へシフトするのは、筆者には後ろ向きの対策に見えてしまう。

 前向きな対策にする考え方が必要だと感じていた時に米IBM社のプレゼンテーションに見る機会があり、そこにヒントを見つけた。同社は「スマートプラネット」を提案しており、その中で地球上の様々なムダを紹介していた。例えば、世の中で流通する食品の1/3が廃棄されていたり、電力のムダ使いされていたりすることは、今回の震災の後に我々も身を持って経験している。サプライ・チェーンを再構築する際、このようなムダを減らせる工夫を取り入れ、前向きな対策に変化させることが重要だろう。

 まず、食品を例に日系エレクトロニクス企業ができることを考えてみた。先進国では5人に2人は、安全性が食品の購買行動に影響を与えると言っている。気候変動などがもたらす食糧価格の高騰が、食糧不足を引き起こし、毎年世界中で1000万人が空腹とそれに伴う病気で亡くなっている。その一方で、世界中で膨大な量の食品廃棄が行われている。日本においても、年間約1900万トンの食品が廃棄され、そのうち食べられるのに廃棄されている食品ロスが約500万〜900万トンもあるようだ(農林水産省「食品ロスの削減に向けた検討会」)。

 世界中のサプライ・チェーンを可視化してトレーサビリティを実現し、このムダをなくすことは、技術的には可能だが容易ではない。しかし、トヨタ自動車のかんばん方式、ヤマト運輸の宅急便など、流通まで含めてサプライ・チェーンを可視化するノウハウは、日本が世界一だろう。一時期は注目されたが最近ではあまり話を聞かなくなったRF-IDも、日本はトップクラスの技術を持っていると聞く。それを広げる仕組みや取り組みを準備すれば、決して実現は不可能ではないと思う。

 エンゲル係数から考えると、先進国では個人消費の約15%程度、新興国で25〜45%程度を食品の購入に使っている。仮に、現在ムダになっている食品の半分を救えるとし、それが食品価格を下げることに使われるとしたら、価格が15%程度安くなるだろう。日本で考えれば、10万〜20万円/年の削減につながる。

 次に、エコ関連技術についても考えてみた。日本のエコ技術が優れていることは世界が認めている。日本の公害対策技術、リサイクル技術、海水の淡水化技術、LEDやリチウム(Li)イオン2次電池技術、鉄道運行技術など枚挙にいとまがない。

 一方、世界人口は70億人を突破し、100億人までは増え続けると予測されている。エレクトロニクス消費人口は2000年で約8億人、2010年で18億人、2020年には30億人になると予測されている。世界人口の増加スピードをはるかに上回るスピードで、エレクトロニクス消費人口は増加している。この結果、2030年には世界の電力消費は現在の2倍になると予測されている。現状の電力供給体制で、これを支えるのは無理だ。当然、電力不足になることは間違いない。10年後には、エコ、省エネ、リサイクルが日本を支える輸出産業になっている可能性が高い。

<b>図1 世界の電力消費量の推移</b><br>資料:IEA、「Energy Balances of OECD Countries」、「Energy Statistics and Balances of non-OECD Countries」
図1 世界の電力消費量の推移
資料:IEA、「Energy Balances of OECD Countries」、「Energy Statistics and Balances of non-OECD Countries」
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