CSIのデータ
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Solarbuzzのデータ
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 最近の米国における太陽光発電市場の動向は、我々に興味深い問題を投げ掛けている。それは、グローバル化とそれに伴う競争が、太陽光発電産業にとってプラスとマイナス、どちらになるのかということだ。もっと端的に言えば、中国製モジュールの米国への流入をどのように捉えるかということである。

 米国最大の太陽光発電奨励プログラムであるカリフォルニア・ソーラー・イニシアティブ(CSI)によると、このところ中国メーカーのシステム設置量が増えている。中国のCanadian Solar社やSuntech Power Holdings社、Trina Solar社、Yingli Green Energy Holding社の合計シェアは、2008年にはわずか3%だったが、2011年(11月末時点)までに一気に36%まで拡大した。Solarbuzzの米国市場データも同様の傾向を示しており、2011年にはさらに伸びると予測している。

 中国メーカーの躍進と合わせて、米国での競争は激化した。その結果、モジュール価格は急激に下落し、多くの米国企業が損失を被ることになった。2011年10月に開催された米国最大の展示会「Solar Power International(SPI)」でも、モジュール価格の先行きはどうなるか、またこうした環境で収益を得られるのは誰なのか、というテーマで白熱した議論が繰り広げられた。そしてちょうどSPIの2日目に、ドイツSolarWorld社の米子会社が中国からの輸入モジュールに対するダンピング訴訟を正式に提起することになる。

 中国メーカーの躍進と、それを回避しようとする米国メーカーのダンピング訴訟――。米国も太陽光発電産業のグローバル化と無縁ではいられないことを示している。米国の太陽光発電産業は今、過渡期にある。この産業は、政府の補助金やさらなる価格下落、あるいはその両方なしに自立できる状態にはなっていない。

 この問題を考える上で、もう一つのデータを紹介する必要がある。それは、先に挙げたCSIによるシステム設置容量の全体の推移である。2008年に150MW(DC)を少し下回るレベルだったものが、2011年1~11月までで250MW以上に増加した。この100MWの増加分は、中国メーカーの増加分と同等である。つまり低価格化を推進する中国メーカーが、米国市場の成長を牽引したとも言えるのである。

 太陽光発電システムの値段が手頃になったことで、政府や州の補助金が枯渇したり消滅したりする状況でも、太陽光発電産業は成長を維持してきた。しかしその一方で、モジュール・メーカーに対するプレッシャーは厳しさを増していった。