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日本と台湾の提携で、中国の医療クラウドの商機をつかめ

2011/11/29 09:00
蘇 孟宗=IEKセンター部長

 現在、中国には約1200カ所の三級甲等病院(最高レベルの病院)があり、これらの各病院で少なくとも1000万人民元(約1億2000万円)規模の情報システム投資が必要となる。医療システム・プラットフォーム、電子カルテ・システム、中央サーバーなどにおいて、将来、少なくとも120億人民元(約1500億円)の商機が生まれるだろう。
 そこで、ECFA(Economic Cooperation Framework Agreement:両岸経済協力枠組協議)締結によって台湾の医療・情報サービスを中国に提供できるようになったことを生かして、日本の遠隔医療技術と統合し、中国の僻地(へきち)農村の医療市場に参入することを提案したい。このような協業によって、日本と台湾の企業は、中国の地方にある民営病院チェーンの情報プラットフォームと健康データバンクの構築に協力できる。これを足がかりにして将来は市場シェアを伸ばし、本格的に中国の医療クラウド産業の商機獲得に乗り出せるようになる。

 中国は2010年9月に公布した「十二五計画」(第12次5カ年計画)の中で、国家7大戦略新興産業を推進することを決めた。具体的には、省エネ環境保護、次世代情報技術、バイオ・テクノロジー、ハイエンド機器製造、新エネルギー、新材料、および新エネルギー車の7つを、今後推進すべき重点に選定している。

 この中の次世代情報技術のうちクラウド・コンピューティングの開発は、既に重要発展項目にリストアップされている。北京、上海、深セン、杭州、無錫の5都市がクラウド・コンピューティング・サービスの革新・発展のパイロット都市に選定された。政府当局がクラウド・コンピューティングを推進しているほか、米IBM社などの海外大手企業も2008年から中国で大規模なクラウド・コンピューティング計画を進めており、中国はアジアで最も重要なクラウド市場の一つになっている。

 中国は新興産業育成の一方で、将来の経済動向の変化を見据えた社会福祉制度を確立する必要に迫られている。そこで、サービス指向の政府を目指して、社会保険や医療サービスなど一般の人々の便宜を図るサービスについて改革を進めている。例えば医療サービスについては、都市と地方に住む住民の70%以上に対して電子カルテを作成し、医薬品供給保障システムを設置するなどの目標を掲げている。

 こうした状況から、大量のデータを処理し集中管理するとともに、これらのデータを複数の医療機関で同時に使いたいというニーズが出てきている。日本と台湾のIT企業が共同でこのビジネス・チャンスに切り込める可能性も高まっている。以降では、中国の最近のクラウド・コンピューティングと医療改革政策の状況を分析するとともに、日本と台湾の提携による中国進出と、巨大な医療クラウド産業のビジネス・チャンスについて考察する。

(1)電子政務システムは今後、社会福祉への対応に重点

 中国の中央政府は1991年に、政府の核心業務として一連の国家レベルの電子政務システム(中国は中央電子政府システムの重点的推進を計画)建設を開始した。過去10年間、中央政府は中央電子政務システムを構築する上で、産業・経済における効果と利益の向上を主要目標として掲げる傾向があった。このため、関税システム、金関(輸出入関係のシステム)、金財(財政関連システム)といった財務システムなどの発展に、政府はこれまで力を注いできた。一方、国民の情報・社会サービスのための中央電子政務システムは明らかに少ない。国民の利益につながる医療、就業、社会保険および教育などに対して、現在の電子政務システムはほとんど貢献していない。

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