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エレクトロニクスの知的創造でも韓国が大躍進のわけ

ISSCC論文数で日本を抜いた韓国のリノベーション

竹内 健=東京大学 准教授
2011/11/28 09:00
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 2012年の2月にサンフランシスコで開催される半導体の学会ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)のプログラムが先ごろ発表されました。注目すべきは、論文採択数でアジアがアメリカを初めて追い越したこと。そして、アジアの中では、韓国が日本を初めて追い抜いたこと。

 ISSCCは「半導体のオリンピック」とも言われるように、世界最高性能の集積回路のチップが発表される学会です。ISSCCで発表された技術は、論文発表から半年から1年程度後に商品化されることも多いため、ISSCCの論文によりエレクトロニクス産業の将来動向を知ることができます。

 次回のISSCCは、採択論文数でアジアがはじめてアメリカを抜いた記念すべき年になります。アジアからの論文発表が前年の69件から73件に増加したのに対して、アメリカ大陸からの論文が80件から68件に減少しました。ヨーロッパは前年の62件とほぼ同じ61件でした。

 アジアが躍進したというよりは、リーマンショック後、世界的に経済状態が厳しい状況で、アメリカでの研究開発の投資が落ちてしまっているように感じます。2008年のISSCCではアメリカから101件の論文が発表されていましたので、たった4年で1/3も論文数が減ってしまいました。

 エレクトロニクス製品の製造に関しては、ご存知の通り、既にアジアが「世界の工場」となっています。AppleのiPhoneやパソコン、電化製品に搭載される半導体のチップの製造や、セットの製品の組み立ては、IntelのCPUなどを除いては、ほとんどがアジアで行われています。

 一方、ISSCCで発表される回路設計とは、エレクトロニクス製品の回路の設計図をデザインする技術になります。デザインは多くのエンジニアが居ればよいというわけではなく、設計者の質、アイデア、創造性が問われます。安く物を作るという製造とは異なり、欧米が強い分野です。

 その集積回路のデザインの世界でも、アジアがアメリカを追い越したということは、エレクトロニクスの知的創造の分野でもアジアの世紀になってきたということでしょう。

 もっとも、国別にみると、アメリカが65件とダントツのトップ。アジアのすべての国が束になって、やっとアメリカ一国を抜かしただけで、デザイン分野でのアメリカの優位性は圧倒的です。

 アジアの中では、韓国が20件から30件に大幅に増加。日本は24件から25件に横ばい。次に多いのは台湾の9件。インド・中国・シンガポールは2-3件で、デザインの分野では新興国はまだ存在感は小さいです。

 集積回路のデザインはエンジニアの職人芸の世界です。ヨーロッパでは、集積回路のデザインの「一芸」に秀でた国も多く、オランダが21件、ベルギーが12件、イタリアが9件、ドイツが6件、フランス・英国が3件となっています。

 これらの集積回路のデザインに強いヨーロッパの国々は、アートや工業デザイン、装飾、ファッションのデザインにも優れている国とダブっています。分野が異なっていても、「デザイン」と呼ばれる仕事には、創造性や職人芸といった共通する素養が必要とされるのではないでしょうか。

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