(1)他の道はないか

 組織に所属して仕事をする場合を想定しましょう。職場において問題が発生したり、取り組むべき課題があったりする際、組織で解決する過程においては、まず上流工程からスタートします。

 そこではまず、どんな事態が起こっているのか、何が問題なのか、どんなことが要求事項なのか、どこが解決をする主体なのか、どのような状態が出現すれば解決したと言えるのか、費用や日数や投入人材はどの程度か、などについて考えます。当然のことながら、一刻も早い解決が望まれますし、上からもそのような指示が出ていることでしょう。

 このような状況下では、情報の収集、事態の把握、課題の把握、調査結果の検討、問題の骨格を掴んで、解決体制を組みますよね。そして、解決に関わるメンバーで、どのような具体的方針で進むのかを決めたり、与えられた条件や状況を判断して、考えた複数の解決案(代替案=オルタナティブズ)の中からどれを用いるかを検討したりして、進むべき方向を決めます。

 では、「仕事をこなして行く過程」をここでは「問題解決過程」と呼ぶことにしましょう。こうした場で、私たちが主張する「視座・視点・価値観」の出番はないのか、考えてみたいと思います。もし出番があれば、それは「想定していた道の他に、新たな道の発見」につながるかもしれないのです。

(2)まず視座を意識する

 問題解決過程には、問題を提起する側の視座や問題を取り上げる側の視座として、責任者、当事者、統括者、問題発見者、確認者、問題提起者、調査者、分析者、課題提出者、改善要求者、開発要求者、顧客、親会社(関係者の一つ)、取引会社(関係者の一つ)、計画立案者、記録者、アイデアマン、クレーマー(クレームを申し立てた人)、顧問、コンサルタント、管理者など、いろいろとあります。

 続いて、問題に対処する側の視座や問題を解決する側の視座として、責任者、統括者、問題解決者、分担者、アイデアマン、解決案提起者、調査者、分析者、案決定者、記録者、管理者、実験者、確認者、解決案実行者、顧問、コンサルタント、協力者、関係機関など、これもいろいろとあります。

 第三者的視座として、確認者、評価者、支援者、報道者、批判者、調停者、行政関係者、相談役、研究者、記録保存者など、中立の立場が考えられます。

 こうした視座を丁寧に取り上げ、それぞれの視座から問題や解決を検討していきますが、そこで視座力を発揮して、問題解決を多面的に捉え、拙速にならないようにするという知恵が生まれるものです。