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コラム

いよいよ米国ブラック・フライデー商戦開始――値下げ競争で客足は伸びるか?

2011/11/22 07:00
鳥居 寿一=DisplaySearch
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 2011年、米国では1年の大半を通してテレビ需要が低迷した。当社の最新市場調査(季刊 世界TV出荷調査レポート - Advanced版)によると、2011年第1〜3四半期合計出荷台数で、対前年同期比約5%減となっている。LEDバックライト搭載、3次元(3D)、インターネット対応といった機能も、消費者に手持ちのテレビを買い替えさせるまでには至っていない。現在の経済状態や消費者の買い控え姿勢に加え、消費者が真に欲する魅力的な新機能も不足していることから、買い替え市場である米国では今、消費者に「新しいテレビに買い替えよう」という気持ちにさせるのが難しい。

 いよいよ今週末のブラック・フライデー商戦が始まるが、ブランドや小売店は例年にも増して需要喚起のため非常に積極的な値下げ姿勢を打ち出している。2011年11月は「ブラック・ノベンバー」と呼ばれることもある。例年ならブラック・フライデー前後に見られるような安値や販促広告が月初から展開されているからだ。ブラック・フライデー向けの広告や値下げが早めに打ち出され、店によっては特定の日や週末を対象にした大幅値下げを実施しているところもある。当社では広告掲載価格を調査し、最安レベルの価格について分析している。

 現在見られる主なブラック・フライデー用広告掲載価格は以下の通りである。
・32型HD、60Hz、CCFLバックライト搭載: 188米ドル
・32型HD、60Hz、LEDバックライト搭載: 299米ドル(大手ブランド)
・40型フルHD、60Hz、CCFLバックライト搭載: 248米ドル(ティア2ブランド)
・55型フルHD、120Hz、CCFLバックライト搭載: 599米ドル(ストア・ブランド)
・55型フルHD、120Hz、LEDバックライト搭載: 898米ドル(大手ブランド)
・60型フルHD、120Hz、CCFLバックライト搭載: 799米ドル(大手ブランド)
・60型フルHD、120Hz、LEDバックライト搭載: 999(大手ブランド)
・50型フルHD、プラズマ: 599米ドル(大手ブランド)

 ブランド会社や小売店が需要拡大と在庫削減を目指していることから、上記のような価格がブラック・フライデーから2011年末、場合によっては2012年1月にかけて日常的な価格になると当社では見ている。米国の消費者はLEDバックライト、3D、インターネット対応といった機能に対する価格の上乗せを受け入れる意思が無いということに、テレビ・ブランド会社は気付きつつある。消費に対する警戒感が広がる現在の経済状況では、必需品と思えないものに対する消費が控えられる傾向にあり、米国のような買い替え市場ではこうした考え方がテレビ需要に影響を与えている。

図1 ブラック・フライデー向け広告掲載のテレビ小売価格(サイズ別・技術別)
出典:ディスプレイサーチ
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 当社では広告に掲載されるテレビの価格を観測している(図1)。ブランド会社別では26モデル以上の広告を出す韓国Samsung Electronics社が最も積極的な姿勢を示しており、シャープと韓国LG Electronics社がそれぞれ10モデルで続く(図2)。

 Samsung社は2011年、価格については慎重な姿勢を保っていたが、第3四半期の途中から全てのサイズのテレビ・セットに対して積極的な値下げ姿勢を提示し、消費者を引き付けようとしている。シャープは60〜70型クラスの超大型テレビに重点を置いており、これほど早い時期に見られるとは誰も予測しなかったような価格を打ち出してきている。同社は第10世代液晶パネル生産ラインを、こうした超大型サイズの生産に最適化させている。60型の価格設定は、米国のマジック・プライスと言われる999米ドル以下。これは消費者の注目を間違いなく集めるだろう。

 一般的に、消費者は大手ブランド会社のテレビに対し、画面サイズに応じて20〜150米ドルの上乗せ価格を惜しまず払うものである。大手ブランド会社は最先端技術と豊富な機能を搭載した商品を提供すると、消費者は考えているからだ。これらの大手ブランド会社が安値を打ち出していることから、バリュー・ブランドやストア・ブランドでは消費者の関心を集めるためさらなる積極的な価格設定をする必要がある。既に、19型で98米ドル、24型で79米ドル、32型で188米ドル、40型で248米ドル、55型で599米ドルなどの価格設定が登場しており、例年にも増して激しい値下げ競争となっている。

図2 各ブランドのテレビ広告掲載数
出典:ディスプレイサーチ
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 小売店別に見ると、ブラック・フライデーに向けて最も積極的な販促活動を展開しているのが「Best Buy」だ。消費低迷やテレビ需要失速に加え、テレビ価格がコモディティ・レベルに下がったことで消費者のオンラインショッピング利用が増えているため、小売店は苦労している。その中でも、他店よりさらに苦戦しているのがBest Buyである。2010年のブラック・フライデーでは「Walmart」に価格面で敗れたBestBuyだが、2011年は価格面でWalmartに対して真っ向勝負に出てきている(図3)。

図3 各小売店のテレビ広告掲載数
出典:ディスプレイサーチ
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 画面サイズ別では、広告数が最も多いのはやはり32型である。機能とブランド会社の組み合わせによって、価格のバリエーションも大きい。次に広告が多い画面サイズは55型と40〜42型である。米国の消費者は常に大きな画面サイズのテレビを好む。50型以上の大型テレビ(60型を含む)の価格が1000米ドルを下回るようになっていることから、今週のブラック・フライデーから始まる年末商戦、そして1月のスーパー・ボウル商戦に向けて、消費に弾みがつくと当社では見ている。40型クラスは既に主流となっており、価格も手頃なレベルが続くことから、この画面サイズの普及率が上がる可能性もある。

 なお、現在、安値で販促展開されているモデルの多くはCCFLバックライトを搭載している。また、大半が60Hz品だ。米国では、テレビ・ブランド会社は最新機能ではなく最安値を提供することで消費者を引き付けようとしているのである。

 当社では、現在の広告掲載価格がこの年末商戦の消費者需要を喚起し、短期的には市場の好材料となると見ている。とはいえ、既に成熟している米国のテレビ産業のターニング・ポイントになることはなさそうである。

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