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女子力が日本のエレクトロニクスを救う?!

技術を生かすサービスの市場を見定め、編集力や共感力で実現する

竹内 健=東京大学 准教授
2011/11/21 09:00
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「女性未活用大国 ニッポン」
「日本経済復興の特効薬は女性の活用にあるが、今も才能とやる気にあふれた女性の多くが男社会の壁に阻まれている」
「高学歴女性をフル活用すれば、日本の労働人口は820万人増加し、国内総生産(GDP)は15%もアップする」

 先ごろ海外メディアなどに掲載されたこれらの記事のように、日本社会では女性は生かしきれていない。少子高齢化が進み、日本全体で労働人口が減っているにもかかわらず、もったいないことです。

 女性が就労することで労働人口が増加し、国内総生産が増加するというマクロ経済学の視点は重要です。それに加えて、技術の提供だけに留まらず、今後は技術と技術を使ったサービスの提供を志向するエレクトロニクス産業では、女性が得意といわれる、共感力や編集力が重要になるのではないでしょうか。

 エンジニアはあまり権威的ではないため、エンジニアは日本の中では比較的、女性が働きやすい仕事かもしれません。エレクトロニクス産業の場合は、「女性の就労を男性が阻んでいる」というよりも、そもそも女性が圧倒的に少ない。

 鉄道好きの「鉄女」、歴史好きの「歴女」、山歩きが好きな「山ガール」といった言葉がはやっているように、今まではどちらかというと男性ばかりが目立っていた世界に女性が進出してきています。でも、残念ながら、「エンジニア女子」とか、「技術女」という言葉は聞かないので、女性のエンジニアはまだまだ少数派。

 大学では以前に比べれば工学部に進学する女性は増えてきましたが、電気工学科に100名の学生がいるとすると、女性は多くても10名くらい。もっと「技術がわかる女性」を増やし、生かすことが日本のエレクトロニクス産業の復活のカギになると私は考えています。

 急激な円高、原発事故に伴う電力供給への不安に加えて韓国や台湾、中国のメーカーによる巨額な投資と価格攻勢の前に、液晶パネル事業やテレビ事業の規模縮小を余儀なくされている日本のエレクトロニクス産業。

 クリーンエネルギーとして成長が見込まれる太陽光パネルは日本が研究開発では先行していました。しかし、太陽光パネルの市場も既に中国メーカーに約6割の世界市場シェアを握られ、物量・価格の勝負では、日本メーカーはもはや苦しくなってきています。

 日本のエレクトロニクス産業には、太陽光パネルなどの部品だけを売るのではなく、太陽光パネルや蓄電池、電化製品の電力をモニターし最適に制御するスマートメーターなど、さまざまな技術を組み合わせた電力消費の低い家、あるいは、都市システム(スマートコミュニティ)やサービスの提案が必要になってきているのではないでしょうか。

 もちろん、太陽光パネルのエネルギーの効率を上げる、蓄電池の容量を上げるといった要素技術の開発は非常に重要です。こうしたハードウエアが日本の強みであることは今後も変わらないでしょう。それに加えて、さまざまな技術を組み合わせて、家や都市インフラといったソリューションを提供する。

 技術とサービスを提供するソリューション・ビジネスで重要なのは、技術を理解した上での、編集力や共感力。ソリューション・ビジネスといっても、単にいろいろな部品を集めてきただけでは差異化はできません。どの技術を採用するのか、電力の少なさ、使いやすさや住みやすさ、外観などのデザイン、価格など、さまざまな要因の何を優先して、何を犠牲にするのか。

 さまざまな要素を理解した上で、製品や家、都市をコーディネートする力、編集力が必要になるのです。先日、沿岸部で根こそぎ町が津波に流されてしまった被災地の復興計画に関して、東北地方の自治体の方がこぼしていました。

「メーカーは各会社が販売しているパーツの提案はしてくれるけれど、町全体の提案がないんだよなあ」

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