大型液晶パネル価格動向――IT用は底ばい、テレビ用は続落
大型液晶パネルの需要は例年に比較して弱い傾向が続いている。2011年10月の用途別価格変動幅は、ノート・パソコン用が前月比ステイと下げ止まったものの、モニタ用パネルはスクエア・タイプなどを除いて同2%弱(1米ドル)の下落(図1)。一方、テレビ用パネルについては同1〜5%(2〜8米ドル)の下落で決着したもようだ(図2)。(大型液晶パネル価格の詳細レポートはこちら)
パネル・メーカーの芳しくない決算(特に大型パネル関連)が相次いで発表されているが、各メーカーとも、当面の赤字幅縮小や体質脱却が喫緊の課題となっている。ただ、11月上旬の価格交渉は、すでに大枠が決まったセット・メーカーの来年の要求規模もにらみつつ、足元の価格を模索している段階であり、様子見の状況だ。
セット・メーカー側の在庫状況は適正化に向かっているものの、パネル・メーカー側が製造ラインの稼働率を一部引き上げるため、結果的に需給のタイト感は醸成できないままでいる。テレビ用パネルでは、「薄型」を追求してきたバックライトをLEDエッジ型からあえてCCFL直下型に戻し、輝度や画質性能を抑えた低価格パネルを新興国向けに投入したり、ガラスの面取り効率を再検討して新しいサイズのパネルを開発したりするなど、コスト低減の動きも継続して見られる。これらも平均価格低下の一因となっている。この結果、引き続き下落バイアスがかかったままとなっている。
ただし、パネル価格の下落余地は限られる。32型テレビ用パネル(CCFLバックライト)の11月の平均価格は125米ドル。これに対し、われわれの調査では第6世代ラインでのキャッシュ・コストは138米ドル、第8.5世代ラインでは128米ドル近辺となっており、一部のパネル価格がキャッシュ・コスト割れで推移しているためだ。すでに数カ月前にキャッシュ・コスト水準に達しているIT系(モニタ用、ノート・パソコン用)パネルと同じく、稼働率の調整でさらなる価格下落を食い止める努力をすることになる。
一方、10月上旬から深刻化したタイの洪水は、ノート・パソコンのサプライ・チェーンにも大きな影響を及ぼしている。とりわけ、出荷に大きな影響が出ているハード・ディスク・ドライブを、各セット・メーカーがいつまでのセット製造分まで確保しているかによって、さらにパネルの要求数量を減らす懸念が台頭してきている。
また、米国でのブラック・フライデー商戦は、すでに11月上旬からテレビを中心に大幅な値下げ合戦が始まっており、在庫となっているセットを一掃しようとする動きが活発になっている。ただし、大幅な赤字を抱えたセット・メーカーの一部には、消耗戦を避けるべく、あえてこの年末商戦に値下げ攻勢をせず、2012年に向けた資金力を温存しようとする動きも見られる。
総じて、弱り切った需要にライン稼働率の調整でロスを少しでも減らそうとするパネル・メーカーの苦しい事情がうかがえる。
11月のパネル価格推移予測は、テレビ用、モニタ用パネルを中心に下げ止まる時期を後ろ倒しにしている。特にテレビ用パネルについては、下げ幅は縮小するも続落を予想。IT系は需要の弱い18.5型モニタ用パネルなどを除いて、ほぼ横ばいで推移すると見ている。
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