「製品開発力」の重要性

 ビジネス成果を得るために、企業は何に力を入れることが重要であろうか。営業力の強化、独自技術の開発、業務プロセスの改善、設備投資や生産技術の強化、人材育成の強化、はたまた広告・宣伝の強化などさまざまな事項が挙げられる。

 先日亡くなったスティーブ・ジョブス氏のCEO退任の際に、アップルは今後の「製品開発力」が鍵だと報じられていたことは記憶に新しいと思う。私たちはこの「製品開発力」こそが、ビジネス成果を得るために必要だと考えている。

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 私たちは、「製品開発力」を図1と定義している。縦軸は即効性であり上位にあるほど導入・改善により「製品開発力」を早期に向上できることを指す。横軸は幅があればあるほど汎用性が高く、導入しやすいことを指している。固有技術は、その企業独自の技術の醸成や特許技術を購入するなどのイメージである。組織業務・インフラ・システムはCAD、CAE、PLM、SCMなどのツールを導入すること、機能別組織、製品別組織、マトリクス組織などの組織を構成するなどのイメージである。

 この中でも、私たちがフォーカスしているのが「人、業務プロセス」である。この分野はこれまで各企業内の管理者や推進者が独自に改善して効率化を図ることが多かった。業務プロセスについては、ISOの監査などで伺えるとおり推奨のやり方などを示唆されるものの、必ずしも自分の会社にとっての正解(あるべき姿)ではないことも多い。そこで私たちは製品開発プロジェクトにおける業務プロセスのあるべき姿を定義し、定量評価できるようにし、製品開発力を一定のものさしで評価できるようにした。これを用いれば、たとえば同一業界と自社の業務プロセスをベンチマークし、強み・弱みや課題をあぶり出すことができる。この手法が「開発力調査」である。

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 今回は2010年度に80社、約10,000名の技術者を調査した結果から、「人、業務プロセス」に加え、それを下支えする「ツール・インフラ」と、製品開発プロジェクトの成功との関係(図2)を紐解き、製品開発プロジェクトを成功させるために企業が何に力を入れるべきかを明らかにした。