中国でのテレビ事情

 世界の主力テレビメーカーがほぼ出揃っている。主なテレビメーカーを以下に挙げる。

中国6大テレビメーカー――Hisense、Skyworth、TCL、Changhong、Haier、Konka
日本――パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立
韓国――Samsung、LG
欧州――Philips

 世界の主力テレビメーカーは、年間4000万台の中国テレビ市場を狙っており、中国を戦略市場として位置づけて重視している。

 昨年から発売が始まって、世界中が注目している3Dテレビについては、世界の主流であるアクティブシャッター方式と違う方式である偏光メガネを使うパッシプ方式を、LGが今年に入って強力に推進している。パッシプ方式は、アクティブ方式より画質は落ちるが、メガネが軽くて安いので、経済性を重視するユーザーとしてはメリットがある。LGは中国を主戦場として、まず中国メーカーと連携してパッシプ方式を中国市場へ投入した。そのため中国では、アクティブ対パッシプの宣伝合戦が展開された。LGはその後、中国からアメリカと欧州へパッシプ方式を展開している。先進国から新興国へ展開する商品戦略はこれまでよくあるパターンだったが、それと逆のパターンである。

量販店でのアクティブ(快門=シャッター)方式とパッシプ(偏光)方式の比較パネル。PK(Player Killingの略称)は対決の意味。

 海外テレビメーカーも、中国のテレビ市場をよく理解し、中国市場を最優先として取り組んでいると見られる。

 中国のテレビ市場は、現在、中国メーカーと海外メーカーの競争が互角の状況だ。長年の競争の中、中国メーカーは海外メーカーからの技術を吸収して成長している。海外メーカーも、中国現地の生産を拡大し、コスト低減とブランド力で中国メーカーと共存している。昨年まで、中国のテレビメーカーはほとんど台湾や韓国、日本メーカーのパネルに依存していた。今年に入って、TCLのパネル工場とBOEのパネル工場が稼動、Changhongのプラズマパネル工場も拡大された。中国テレビメーカーの競争力が一段上がり、今後の競争がますます激しくなりそうだ。

中国でのプレーヤー事情

 中国においては、普通のDVD(VCD)プレーヤーとBlu-rayプレーヤー以外に、日本ではあまり見かけないネットワークプレーヤー〔中国では、高清(ハイビジョン)プレーヤーで呼ばれている〕が近年多くなっている。日本と韓国、中国の大手メーカーはBlu-rayプレーヤーに注力しているが、中国の中小メーカーはネットワークプレーヤーでプレーヤーの市場を奪っている。

 ネットワークプレーヤーとは、いわゆるネットとつながって、そしてHDMIでテレビとつながれば、ネットのコンテンツを視聴できるもの。また、USB端子もサポートし、HDDで保存したコンテンツが視聴できる。

 ネットワークプレーヤーが人気ある原因の一つは、中国ではパッケージ・コンテンツと比較してネット・コンテンツが無料で簡単にアクセスできることだ。そういった背景で、ネット・コンテンツの対応はプレーヤーの必須機能の一つになり、Blu-rayやDVDプレーヤーもパッケージ・コンテンツの再生機能以外に、ネット対応機能を拡充している。