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第6回・なぜ「視座・視点・価値観」に注目するのか(前編)

中村 民明=tami情報教育研究所 代表
2011/09/22 00:00
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(1)はじめに

 私たちは教育や訓練の立場から、「視座・視点・価値観」という考え方に注目しています。今、よく話題になっている「人間力」の基盤に、この考え方を推進する力である「視座力・視点力・価値観力」があって、教育し訓練することがきわめて大切であると考えているからです。物事を正しく理解するためにも、また、発想の範囲を広げるためにも、「視座・視点・価値観」をセットで意識することが非常に有効に働くことを知っているからです。

 このセットを意識することを通じて、例えばコミュニケーション力(中心は意思伝達力)、状況を正しく把握する力(中心は分析力、洞察力)、プレゼンテーション力(中心は説明伝達力)、問題解決力などの仕事力を高められます。これらに役に立つ基盤能力である「視座力・視点力・価値観力」に注目しています。

 私たちは日常的にコミュニケーションを行ない、状況を把握し、情報を共有し、問題を意識し、事態を解決したりしています。しかし、自分が意図した通りに話が伝わらないことが時々あります。また、状況の把握が偏ったり、不十分であったり、問題を解決したつもりでも望ましい事態が出現しなかったり、もっと良い解決策があることに後で気付いて後悔したりします。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。考えてみましょう。

 コミュニケーションに行き違いがある場合は、自分が使った言葉が相手に理解されなかったり、理解されても意図しない内容として受け取られたり、真意が伝わらなかったりしてしまうことが多々あるからです。逆に、相手が話した言葉で、自分が異なった内容として受け取り、相手が伝えようとしたものと異なったイメージや印象を持ってしまっている場合もあります。それは、互いの立場や役割(視座)、互いに注目しているポイント、関心事(視点)、こだわっている事柄(価値観)に食い違いがあるからです。当然のことながら、状況の把握具合にも影響します。

 また、後からもっと良い解決策の存在に気付くのは、実行した解決策を「思い付いたら、すぐ実行」で進めてしまったからではありませんか。問題の本質をよく見極め、状況を正しく把握し、いろいろな解決策を多面的にあれこれと考えた上で、諸条件から最適と思う解決策を選択すべきだったのです。そのためには問題そのものをいろいろな視座から見て、また数多くの視点を設定して見極めることです。その上で、いろいろな視座から考え、豊富な視点で状況を把握し、最良の解決策を考え、その問題を解決するために最も重視しなければならない価値観(大切にしたい事柄)を十分確認して、解決の事態に至る道と方法を選択すべきなのです。

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