今やソフトウエアがない製品は無いといってよいほど製品に組み込まれるようになってきているが、ソフトウエアの開発規模の増大や複雑化によって、その品質や開発・管理コスト増大が問題になってきてもいる。今回、開発力調査に参加した組み込みソフト技術者のデータを分析し、組込みソフトウエア開発の実態を探る。

2007年と2010年の比較

 2007年と2010年の調査の両方に参加した企業を抽出し、比較を行った。(図1参照) わずか3年で劇的な変化は見られないが、少し推測を加えると開発現場の状況が見えてくる。

 昨今の景気動向から製品の市場成長力は鈍化し、韓国・中国も含めて激しい競争下にあり市場シェアを奪われる状況になってきている。競争に負けないように技術難易度の高い開発にチャレンジし、機能とコスト目標を達成しプロジェクトは一見成功している。しかし、コスト目標達成のためにリソースは逼迫し、開発はより遅れるようになった。品質重視からコスト重視へ傾きつつある。

図1 ソフト技術者について2007年と2010年の比較
図1 ソフト技術者について2007年と2010年の比較

 この推測の通り、品質達成度の低下が続くようであれば、不具合対応にリソースが割かれ、市場競争力は落ち必要なコストを開発に掛けられず、機能未達成や更なる品質低下へと悪循環にはまっていく。今は大丈夫でも慢心せずに機会を捉えて改革・改善していくことが肝要である。