人の能力を評価する場合、海面から顔を出して現れる表層の「知識・技量」という側面からの認識が容易である。そのため、エンジニア能力を評価しようとした時に、客観性を重視するあまり、「知識・技量」に寄った能力レベルを定義してしまう事例も散見される。

 だが、実際のエンジニアには、必要に応じ自ら「知識・技量」を高める事が出来るかも求められる。また、直面する問題・課題に対して、柔軟に「知識・技量」を活用しパフォーマンスを発揮する応用力とでもいうべきものも必要とされる。そして、それらを行う源泉となるのが、個人の「理想・理念」を土台とした「行動特性」である。 

先ほど述べた、エースとして活躍するエンジニアに共通する”何か”とは、成果を発揮するための「行動特性」であると考えられる。

 iTiDコンサルティングでは、各種産業で設計開発のエースとして活躍するエンジニアの行動特性を、?意識している事?発揮していること?それにより導かれる結果の3つの観点から5つの軸で整理し、これを「技術者力」として定義している(下図2参照)。

図2:技術者力
図2:技術者力

 つまり、この技術者力の点数が高ければ高い程、「エースエンジニア」としての資質が高いという事になる。この技術者力の評点を、設計開発現場のマネージャー層と一般層で比較した(図3参照)。

図3:層別技術者力評価
図3:層別技術者力評価

 この結果によると、マネージャー層の技術者力が総じてメンバー層より高い。技術マネージャーたるには、エースエンジニアとしての行動特性を身につける事が必要である、あるいはそうした人材が技術マネージャーとして活躍しているといえる。