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石桁 正士=やる気研究会 主宰
2011/09/08 00:00
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(1)視点とは

 視点とは「着目点」「目の付け所」「関心事」「的(まと)」といったことです。英語では「point of view」「view of point」「target」などが相当する言葉のようです。

  視点には「注目点」という意味もありますが、「視点」という言葉は単に「目」で見ている箇所(目で見えている所)を表すだけではありません。目には見えない事象(事物と現象)も含めています。したがって、視点は目と心の「関心事」を表していると言ってよいでしょう。

 さて、この関心事には具体的なこと(難しい言葉では形而下的なこと)もあれば、抽象的なこと(形而上的なこと)もあります。大切なことは、関心を持った人の意思や考えによって選択されることであり、視点は関心を持った人の言葉(概念)によって表現されるのです。何に関心を寄せるか、何に心を動かすか、すべて人間の自由意志なのです。

 言い方を変えますと、視点とはその人の経験の深さや関心の在り所、感受性や教養、知能(インテリジェンス)のレベル、EQや知的活動への関心の度合い、慣れ親しんだ文化など、実にいろいろなものに依存するのです。

 私たちがいろいろな視点を持つのは、いろいろなことを受容(心に受け入れること、以下、認知と言います)しようとするからに他なりません。もちろん、意識的な認知もあれば、無意識的な認知もあります。周囲の裏も表も認知してこそ、「KY=空気が読めない」でなくなり、仕事も把握でき、アイデアも湧き、問題解決もでき、適切な行動も取れるのです。さらに、視点から発想も連想も想像も可能になり、場合によっては創造性にも影響を与えるかもしれません。

(2)視点を意識することとは

 私たちは日頃、常識として反射的に視点を設定することが多々あります。また、かなり意識して視点を持つこともありますが、習慣的に無意識で視点を持つこともあります。しかし視点の持ち方に関しては、乏しい視点よりも、豊富な視点の方がよいに決まっています。それによって、より幅広い認知や、より深い認知が可能になるはずだからです。私たちが言う「視点力」は、認知力の基礎力であると考えてよいでしょう。

 例えば、スポーツ観戦にしましても、戦う両者のどこに目を付けるかで、スポーツの見方も、面白さも、奥深さも異なってきます。

 仮にフィールドのプレーヤーに注目するとしても、プレーする態度や動作、見せる技、ルールの熟知の程度、戦略や戦術に伴う位置取り(ポジショニング)、フェアープレー精神、掛け声、目の配り、観客とのやり取り、審判への態度など、数多くの視点があります。

 また、審判という視座に注目しても、審判の目線や判定の正しさ、判定に要する時間、プレーヤーへの指示の的確さ、声と言葉、動作、立ち位置、観客へのアピール、審判同士の連携など多くの視点があります。
 

  これらはすべて、関心事としての「視点」なのです。私たちは日頃、こうした視点を、ある時は強く意識しながら、ある時は無意識に設定して、スポーツ観戦を楽しんでいると言えます。

 さて、仕事となると、視点の設定は仕事の成果に関わります。よく言われている視点の例としては、所要時間、かかった費用、出来栄え、投入した手間、完成までの段取り、要した人手、要求仕様の完成度、クレームの有無、CS(お客様の満足度)、法の遵守、費用対利益、効率、消費エネルギー、エコ感覚の有無、二酸化炭素の排出量、TQC(問題解決)…と実に数多く挙げられます。これらの視点をざっと頭に思い浮かべて、計画し、実行し、チェックし、フォローアップすること(見直し・手直し・やり直しなど)が大切です。

(3)視点力の基礎とは

 視点力を身に付けるには、視点を意識することが第一歩です。仕事の所要時間という視点では、平均時間や最頻値、最短時間、最長時間、分散(標準偏差でもよい)、所要時間の分布、所要時間の傾向、ムダ時間、ボトルネックに要する時間など、いろいろと思い浮かべ、計画や実践、チェックにも生かさなければなりません。これらはすべて視点なのです。

  仕事の出来栄えでは、仕上がりのよさ、外観のよさ、発揮している性能、要求満足度、納品期日、品質保証、製品のムラ、公称値、公称値からのズレ、欠損部分、荷痛み、ミスやエラーなどいろいろとあって、これらの視点について的確に評価できなければなりません。

  視点力は、認知すべき対象についての関心事を漏れや落ちがないように見るための基本的な考え方の一つだと言えます。

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