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技術経営 技術者が知っておきたい経営と市場の最新情報
 

「コピー」と「オリジナル」

徐 航明=Tech-On!特約ライター
2011/09/01 00:00
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コラムの2回目に掲載した「VCDを知っていますか」において、下記のコメントを頂いた。

コピー天国の中国だから売れたんでしょう。 基本的にソフト(コンテンツ)が無ければ 売れないわけですから、それを100タイトル(違法コピー)簡単に準備出来る国ですから。

 確かに、中国は「コピー天国」との印象を持っている人は少なくない。それがVCD誕生の原因ではないが、VCDが売れる原因の一つになっていたのは間違いない。

 中国におけるコピーの問題は、パソコンソフト、パッケージメディア、携帯電話、車など幅広く存在している。日本をはじめとする先進国から、中国はコピー天国でオリジナルがない、と厳しく批判されてきた。それは事実であるが、歴史的にみれば、「コピー」と「オリジナル」には複雑な関係があり、現実に、先進国でも新興国でも、コピーを活用し、利益を得る企業や個人が多く存在する。コピーとオリジナルは、文化、経済、技術、法律、政治などと深く関わり、非常に複雑な課題なので、さまざまな見方があり、決して一つの短い文章で語り尽くせることではない。

 しかし、このコラムのタイトルは「イノベーション 中国発?!」であり、中国のコピー問題は、避けられない話題の一つである。今回はこれを取り上げてみたい。

いつの時代でも当たり前のコピー

 コピーには価値がない、オリジナルこそ価値があるということはよく言われている。

 山田奨治氏の『日本文化の模倣と創造』(角川選書)では、次のように書かれている。「著作権をはじめとして、現在の私たちは「独創(オリジナル)」にこそ価値があり、模倣(コピー)は許さないという価値観に縛られている。しかし、伝統文化を振り返れば、個性豊かな表現は先達の芸や作品を模倣することから生まれてきた」。このように、模倣の重要性を強調している。

 稽古、芸道、武道などでは「守・破・離」とよく言われている。

「守」はひたすら学び、所謂「形」をまねる時期

「破」は「形」を自分なりの物を入れて独自に工夫をする時期

「離」は、「形」を離れて自分自身で学んだ内容をさらに発展させる時期

 簡単に言うと、まずまねをして、次に自分のオリジナルを混ぜ、そして最後に、新しいものをつくっていくということだ。これは、稽古、芸道、武道の世界だけでなく、どんな世界でも通用し、応用できる考え方である。

 コピーは、かつて日本でも実施されていた。いまは、車、カメラ、時計など、さまざまな分野で世界の先端で走る日本でも、昔はごく普通にドイツやスイスのブランドのモノマネ商品を造るメーカーがあったという。また、現在では世界トップレベルへと成長した韓国のサムソンとLGも、10年、20年前には日本製品をまねたコピー製品がメインであるメーカーだった。技術がない企業にとって、先進国のメーカーが造った商品をコピーし、人件費が先進国より安い特徴を活かして製品を販売するのは、いつの時代でも当たり前なのである。

 現実に、コピーをしたと断定することはかなり難しい。相当な時間と費用を使うので、ある程度コピーが許されている環境にもなっている。これがコピーの存在を助長しているといえる。

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