興行収入が10億ドルを突破、「ハリー・ポッター」最終作と肩を並べる世界的ヒットとなった公開中の米映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」。シリーズ3作目で初めて3Dを採用した今作は、変形=トランスフォームする正義と悪のロボット生命体が、地球を舞台に人間をも巻き込んで人類の存亡をかけた戦いを繰り広げるというストーリーだ。

タイトル
かつて「李香蘭」こと山口淑子も舞台に立った上海のグランド・シアター(大光明電影院)で。朝7時台から早朝割引を求めてたくさんのお年寄りが「トランス・フォーマー」の看板の前に並んでいた

 中国では「変形金剛3」の名で7月21日に公開されたのだが、初日の興行収入が9120万元(1元=約12円)と公開初日の中国新記録を樹立した。その後も4日目までにで3億9400万元と1日1億元のペースをキープ。中国各紙やニュースサイトが同23日に発生した高速鉄道事故のニュースで埋め尽くされた7月下旬にあって唯一、華やかな話題を提供した。

 月が変わって8月1日、中国のニュースサイト産業面に、こんな見出しが躍っているのを発見した。

「フォックスコン、変形金剛を全力で推進」

 電子機器受託生産(EMS)世界最大手の台湾FOXCONN(フォックスコン=鴻海)社と変形金剛、すなわちトランスフォーマーとは、はて奇妙な取り合わせだと記事を読んでみると、同社が生産ラインに産業用ロボットを導入し自動化の推進を計画していることを伝えた記事だということが分かった。

 産業用ロボットのことを中国語では普通「機器人」と書くのだが、少しでも多く読者の注目を集めたい編集者が、トランスフォーマーの大ヒットの力を借りようとしたのだろう。

 当社のウェブサイト閲覧には会員登録が必要2週間無料で読める試用会員も用意)ではこれを、「【EMS/ODM】フォックスコン、自動化を加速 3年で100万台のロボット導入へ」と題して伝えたのだが、FOXCONN深工場で7月29日に開かれた社員慰労のイベントに出席した郭台銘・董事長が、同社の自動化の見通しに言及。現在既に1万台の産業用ロボットを導入していることを明らかにした上で、2012年に30万台、3年後には100万台までこれを拡大。「生産ラインにおけるロボットの使用比率を高め、単純な反復作業は今後、人からロボットに移行していく」と述べたというものだ。