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がんと闘う医師、もう一つの顔

古都の照明を変えた好奇心の人、島田順一氏(上)

加藤 幹之=Intellectual Ventures 上級副社長兼日本総代表
2011/08/22 07:00
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 初夏の週末、古都・京都を訪れた。ある医師に会うためである。あいにくの雨模様ではあったが、濡れた木々の葉が新緑の色をより際立たせていた。

好奇心の人
島田順一(しまだ・じゅんいち)氏。京都府立医科大学 教授
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 京都御所の近く。近代的な大学病院の7階にある研究室のドアを開けた。

 「雨の中、よくいらっしゃいました」

 東山、北山が窓越しに見える研究室の奥からユニフォーム姿の医師が顔を出した。どうやら、パソコンで何か書類を作っていたらしい。

 「実は、学会で発表する英文論文に悪戦苦闘していましてね。資料は集めたので、まあ何とかなるかなというところです」

 にこやかな笑顔で迎えてくれたのは、今回紹介する島田順一氏である。同氏は、医療の前線で日々活躍する現役の外科医。京都府立医科大学で呼吸器外科の教授を務める人物だ。

清水寺や東寺のライトアップに貢献

 華麗なる技術者として現役外科医を紹介する理由は、島田氏のもう一つの顔にある。同氏は、日々多くの手術をこなしながら肺ガンと闘う外科医であると同時に、発明家なのである。医工学の分野で現役医師の立場から手術などに使う新たな医療機器の研究を進めている。

京都の夜を変えた
東寺のLED照明によるライトアップの様子
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 それだけではない。発明の虫は医療分野に飽き足らず、古都の夜の照明を変えた。最近、京都の寺社仏閣では、LED照明を用いた建物や庭園などのライトアップが流行している。LED照明は消費電力や発熱が少ないことから、文化財の安全・保護の目的に合致するからだ。

 島田氏は、このLED照明による寺社のライトアップを提案した草分け的な存在である。例えば、世界遺産に選定された清水寺や東寺の夜を彩るLED照明は、2004年に島田氏らの研究チームが提案したものだ。そうした開発で培ったLED照明関連のノウハウを生かして、ベンチャー企業「YANCHERS(ヤンチャーズ)」を立ち上げ、今でも発明を続けている。

 自分の専門分野だけではなく、興味を持った分野には何でも首を突っ込む、まさに「好奇心の人」である。LED照明との出合いは10年ほど前。手術用のLEDゴーグルの発明だった。白色LEDをヘッドランプのように頭に装着し、手術中の患部を明るく照らすための機器である。

 手術室では無影灯という影のできにくい明かりを使うが、手元はどうしても頭の影が術部に落ちることがある。それを解決するために京都大学のLED研究者らと工夫を加え、手術に適した輝度・照度を確保できる軽いLED照明を実現したのである。

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