炭素繊維を刺しゅうする

  カラフルな糸を使って衣類などを装飾する刺しゅう技術。写真の右上と左下にある黒い模様も,この刺しゅう技術を使って作製したものだ。ただしこれは,装飾を目的としたものではない。黒色の糸の正体は炭素繊維で, CFRP(炭素繊維強化樹脂)を成形する方法の一つであるRTM法のプリフォーム(中間基材)として使う

  軽量化を目的に,自動車や航空機の部品などでの採用が広がっているCFRPだが,低コストかつ短時間で成形する方法の試行錯誤は続いている。写真のプリフォームを作製する技術も,そのニーズに応えるために開発されたものだ。

  さて,刺しゅう技術を応用することで低コスト化できるのはなぜか?

 RTM法ではプリフォームを型内に設置し,エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させてから反応硬化させる。