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1/3の面積で効率的に造水する工夫とは

2011/08/01 00:00
出典:日経ものづくり、2009年1月号 、pp.19-21 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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紙飛行機を宇宙から飛ばしても燃えないのはなぜ?

  船舶において,海水から生活用水を得るための「造水装置」は欠かせない存在だ。だが,重要な設備だからといって“幅”を利かせているわけにはいかない。燃料油用の油清浄機やバラスト水の処理装置など積載する設備が増えているため,設備それぞれに対して小型化のニーズが高まっているのだ*1


  さらに,造水装置にはメンテナンスのしやすさも求められる。海水を利用する以上,そこに含まれるカルシウム分やマグネシウム分(スケール)が装置に付着することを避けられないからだ。これを取り除くメンテナンス周期をいかに長くするか,作業しやすくするかが,メーカーの腕の見せどころとなる。

  そこで近年,プレート式熱交換器の技術を応用した造水装置の開発が進んでいる*2,1)。同装置は,複数のプレートを積層して流路を形成し,そこに海水を流して蒸発,塩分の分離,凝縮過程を経て生活用水を作り出すもの。こうしたプレート方式は一般に,管の中に水を通す多管方式(シェル・アンド・チューブ方式)に比べて熱交換面積を大きく取れるため効率が高く,省スペース化が図れる。

  加えてメンテナンス時には,部分的にプレートを取り出して物理的に洗浄できるので,スケールをきれいに洗い落とせる。メンテナンスがしやすいし,周期も一定になるというわけだ。

  多管方式の最大のメリットは,価格の安さだ。そのため,現状では多管方式を搭載する船舶の方が多い。しかし,メンテナンス性には難がある。スケールを除去するには薬液を流し込むしかないので,スケールを完全に取り除くことが難しく,管の内壁に徐々に蓄積されてしまう。しまいには交換を余儀なくされるが,その際には管をすべて取り外して配管し直す必要があった。

  こうしたメリットを持つプレート式の造水装置。より一層の省スペース化とメンテナンス性の向上を目指してスウェーデンAlfa Laval社は,上図左の「AQUA」を開発した。効率をそのままに,1日当たりの処理容量が60tの機種では設置面積を従来の上図右の装置比で1/3に減らした。一体,どのようにして小型化を図ったのか。

*1 2004年に国際海事機関で採択(未発効)された「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」では,他国の管轄区域を航行する船舶に対してバラスト水の洋上交換または基準に従ったバラスト水処理を義務付けている。
*2 例えばササクラが「アクアリオ」を販売している。ゼネシスは,発電と淡水化を同時に行う装置「ウエハラサイクル」でプレート式の熱交換器を採用している。

参考文献
1)高野,「世界を救う異端のアイデア」,『日経ものづくり』,2008年1月号,pp.50-72.

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