米Apple社が売上高、純利益ともに最高を記録、スマートフォン「iPhone」の販売台数が前年同期比142%増の2034万台、タブレットPC「iPad」が同183%増の925万台と、いずれをとっても申し分のない2011年第3四半期(3月26日~6月25日)業績を発表した前日の7月19日。中国、台湾のネットメデイアには一斉に、こんな見出しの記事が流れた。

「Android(アンドロイド)はいつになったらもうけを出せるのか? ノートPCメーカー困惑」

 当社のウェブサイト閲覧には会員登録が必要2週間無料で読める試用会員も用意)でも「【EMS/ODM】ノートPC各社、Androidの先行きに懐疑的 投資回収に疑問符」と題してこれを伝えたが、つまりこういうことだ。

 ノートPCのブランドメーカーやEMS/ODMの受託生産メーカーは昨年来、Androidタブレットの研究・開発(R&D)に向けて、高給でエンジニアを多数抱えてきた。さらに最近になって、Android端末を製造するメーカーが米Microsoft社に対して支払う特許使用料の問題が浮上。Androidに対する資金的な投入は、将来的なものも含めて莫大なものになりつつある。

 ところが、Android関連製品でこれまで比較的成功を収めたと言えるのはスマートフォンのみ。Androidタブレットについてはここまでのところ、「好成績を収めた」と言い切るには物足りない成績にとどまっている。こうした中、メーカーによっては、Androidタブレットへの投資に対する自信が揺らぎ始めているというものだ。

上海の地下鉄駅構内に掲示された中国系TVブランド「Skyworth」の3DスマートTVの広告。スマートフォンやタブレットPC以外にもAndroidの搭載が進んでいる

 台湾の業界筋によると、Androidタブレット1モデルの開発を行うためには、少なくとも30人の人材が必要。これに加えて製品テストや末端市場での販売、さらにEMS/ODMメーカーにとっては、ブランドメーカーごとに異なる製品への対応もある。これらを合わせると、投入しなければならないマンパワーは膨大なものになるという。

 先の業界筋は「現在、Apple以外のブランドメーカーによるタブレットPCは、なお試験投入の段階にとどまっているというのに、これほど巨大なマンパワーを投入しなければならないということ自体が、タブレットPC事業の利益の低さと難しさを物語っている」と話す。

 それでは、ノートPCブランドやEMS/ODM企業が開発や生産の拠点を置く中国で、Androidエンジニアを採用するには一体、いくらかかるのか……