今、東日本大震災からの復興策の一つとしてスマートグリッドを導入しようと活動をしています。いくつかの超党派の議連(議員連盟)でスマートグリッドの導入の提言を行うとともに、経済産業省、総務省、国土交通省など分散エネルギーやスマートグリッドに関係する省庁との議論を行っています。

 さてそのような中、東京ビッグサイトで「スマートグリッド展2011」(6月15~17日)が開催されましたので行ってきました。今回は、簡単にスマートグリッド展で私が見た内容を紹介します。

活気ある会場!

 会場は、非常に活気がありました。大震災後は日本全体において、あまり活気というものを感じていませんでした。新しいビジネス、新しい製品つまりイノベーションが活気を生んでいるのではないか!と思いました(カンファレンスで講演を行った経済産業省の後輩と話をすると「講演への参加募集300人枠のところに1000人以上の応募があった。スマートグリッドへの関心の高まりを感じた」とのことでした)。

 出展者の説明を聞きましたが、やはり「震災からの復興と防災、そしてピーク電力対策のためのスマートグリッド」がポイントでした。今までの先端の配電システムではなく、今の日本が直面する課題に対応するためのスマートグリッドという位置づけがビジネス界の注意を集めている感じです。

電力会社は出展なし

 私が最も印象的だったのは「電力会社が出展していなかった」ことです。スマートグリッドにもっとも関係するのが電力会社のはずなのですが。

 これはスマートグリッドの特性を示していると思います。今まで電力会社は「日本には安定的な配電システムがあり、スマートグリッドは不要である」としてきました。確かに他国に比べると安定的な配電システムだと思いますが、現実には「地域ごとの計画停電」という安定配電からは程遠いことが起こりました。このような状況だからこそ、電力会社はスマートグリッドを進めるべきだと考えます。しかし、やはりスマートグリッドは電力需要を平準化(ピークを下げる)し、電力会社の売り上げを減らすことになるため、対応が遅れているではないか? などと考えてしまいました。

 また、出展者に大学がいくつかあったのも印象的でした。神奈川工科大学、長岡技術科学大学、大阪大学、愛知工業大学、三重大学、東京工業大学――など、多くの大学が展示をしており、学生と思しき人たちがたくさんいました。これも会場に活気を生んでいたのではないかと思います。

スマートメーター

スマートメーター

 HEMS(home energy management system)、BEMS(building energy management system)が数多く展示されていました。スマートメーターと通信・制御技術を組み合わせて、全体として制御された省エネを行う。まさしく日本企業が得意な分野ではないでしょうか。早く日本でいち早く普及し、アプリケーションを確立し、一気に世界に展開することを推し進めたいと考えます。

 また、生まれて初めてスマートメーターを見ました。実際にメーターの内部まで見せてもらったのですが、感想は「あまりハイテクは入っていないな」というものです。先端技術はなく、既存技術を組み合わせて新しいサービスを生み出す。まさしくiPadと同じではないかと思いました。

 いくら先端な技術があっても、それを全体のシステムとして組み上げサービスできなければその技術を生かし切れない!スマートグリッドでは是非とも日本企業が全体システムの標準を取るようにしていく必要があります。日本だけでなく、日米連合で世界標準を取ることも検討必要でしょう。

EV充電スタンド

充電器

 また、国際標準を取らないといけないのはスマートメーターだけではありません。どんどん普及しだしたEV(電気自動車)の充電器の国際標準も重要です。現在、プラグの形が地域によって違う状況になりつつあり、その統一が課題であるとの話を聴きました。

 それとある程度の補助金が必要だとも言われました。家庭用の充電器は数十万円で購入できるようですが、右写真の急速充電器は300万円以上するそうです。量産すれば安くなります。初期導入に補助金があれば普及が進むとのことです。是非とも検討してみます。

いろいろな太陽電池

 素人の私が面白く感じたのが、目新しい「太陽電池」です。棒状の太陽電池板が展示されていました。どう考えても発電効率が悪いのでは聴きますと、下に白い塗装をすれば反射光で発電できるので効率は落ちないとの回答でした(興味ある方はSolyndra社のサイトをご覧ください)。

曲がる太陽電池

 そして曲げることのできる太陽電池。写真は展示物ですが、実際に手に取らせて頂きました。予想以上に曲げることができるのでびっくりしました。

 今回,いろいろと新しいものを見せてもらいました。このようなイノベーションをどんどん進め、日本に新しいビジネス、新しい企業、新しい産業、なによりも新しい雇用が生まれるようにしていきます。