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イノベーターひとづくり考

異才を輩出する研究開発マネジメントを実践しました

ソニーコンピューターサイエンス研究所 取締役・所長 北野宏明氏

  • 丸山 正明=技術ジャーナリスト
  • 2011/06/21 09:00
  • 1/4ページ

 ソニーコンピューターサイエンス研究所(ソニーCSL、東京都港区)は規模は総勢30数人と小粒な研究所ではあるが、“天才や異才”がひしめく研究所として有名な組織だ。例えば、脳科学者の茂木健一郎氏や経済物理学者の高安秀樹氏などの独創的な“知”や新しい学術領域を生み出す“天才や異才”を次々と輩出することで一目置かれる存在になっている。

ソニーコンピューターサイエンス研究所の北野宏明取締役・所長
ソニーコンピューターサイエンス研究所の北野宏明取締役・所長

 その一人である北野宏明氏も「システム生物学」という学術領域を開拓した天才の一人である。研究開発者として自分の研究開発を担当すると同時に、ソニーCSLの取締役・所長として、所内にひしめく“天才や異才”の研究方針などを総合的にマネジメントし、研究環境を整える研究所の経営者としての役割をこなしている人物でもある。

 北野所長は、独創的な研究開発を企画し実施するには「発想のスケールと志の高さが必要条件」という。この点を、北野所長は科学技術振興機構(JST)が主催したシンポジウムでは、「研究開発テーマを考え、成果を検証する際には『世のため、人のための研究か、物まねや流行り物ではない研究か、常識や前提を突き崩す研究か』などの複数の項目で検証し続けている」と語った。そして「自分でなければできない研究かを問い続けるように、心掛けて続けている」と説明した。

 北野所長の研究者としての実力は若手のころから開花していたといえる。米国カーネギーメロン大学に人工知能(AI)を学ぶために留学していた時に、同時並行言語解析生成アルゴリズムを開発し、この研究成果を国際会議で発表したところ、京都大学から「この研究成果で学位をとらないか」と誘われて、1991年に京大で博士号を取得した。さらに1993年に、国際人工知能会議(International Joint Conference on Artificial Intelligence)で日本人として初めてComputers & Thought Award を受賞し、研究者としての実力を国際的に認められた。

 人工知能分野などで、大きな研究成果を上げていた北野所長は米国や日本の大学や企業から「うちに来て研究しないか」という誘いを同時にいくつか受け、結果的にソニーCSLを選んだ。「研究開発成果の実用化に興味があり、大学よりも産業界に近い企業を選んだ」という。企業の中でソニーCSLを選んだ理由は、1991年ごろから国際会議などの場で、ソニーCSL所長(当時)の所真理雄氏(現社長)と、研究内容を議論し始めた過程から「ソニーCSLは自由に自分の責任で研究開発をできるところだが、その責任を自分で負い、言い訳ができない雰囲気が自分には合っていたから」と説明する。

 文部科学省傘下の科学技術振興機構は、北野所長の研究者としての才能に早くから目をつけ、戦略的創造研究推進事業の一つであるERATOの研究総括責任者(研究リーダー)の一人として選んだ。1998年度から2003年度まで(平成10年度から15年度まで)、ERATOとして「北野共生システム」プロジェクトの推進を支援した。ERATOとして推進するプロジェクトの研究リーダーを企業人が務めることは事実上、数少ない。この時の研究開発マネジメントなどを基に、国際的な研究開発を進める際の研究開発マネジメントなどについて、北野所長に聞いた。

 ソニーコンピューターサイエンス研究所の研究員として、北野宏明氏がシステムバイオロジー分野という新領域を開拓する研究を本格的に始めた1997年に、科学技術振興事業団(現、科学技術振興機構)の職員2人が「研究内容を伺いたい」といって訪ねてきた。

 2人は「北野所長が国際人工知能会議で優れた成果を上げた研究者に与えられる賞を受賞したころから注目し、調査していた」と説明し、北野氏が最近手がけている研究内容などを聞いた。この2人は「ERATO」という独創的な大型研究プロジェクトの企画などを担当していた職員だった。この訪問が、北野所長の研究開発を強力に加速することに、結果的になった。北野所長は実力で幸運を呼び寄せたといえる。

 文部科学省傘下の科学技術振興機構(JST)は戦略的創造研究推進事業として「ERATO」などの独創的な研究開発支援事業を推進し、国際的に注目されている(注1)

(注1)科学技術振興機構は戦略的創造研究推進事業として「ERATO」「CREST」「さきがけ」の3支援事業を実施している。「ERATO」の研究総括責任者(研究リーダー)は、今後の科学技術の源流となる研究領域をつくり出している

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