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モジュラー化の先にあるもの

第15回・プラットフォーム化の秘訣

  • 津田 真吾=iTiDコンサルティング ディレクター
  • 2011/06/20 00:00
  • 1/1ページ

 以前、製品BOM(部品表)の構築に取り組んでいる方とお話しする機会がありました。各部品に部品番号をつけ、階層化していく、そんな作業をしていると、やっていることが正しいかどうか、よりどころがなくなるというのです。それはそうです。設計側では機能別に部品をグループ化したがり、組み立てる側は工程ごとにまとめたい。調達サイドは、サプライチェーンが見えるようにしたい。このように、部門によるさまざまな理屈があると、何が正しいのか分からなくなるというのです。

 そもそも正しいBOMなんてあるのでしょうか。製品に必要な部品が列挙されていれば、BOMとしては合格です。あとは、「BOMを使って何をするか?」が基準になってきます。製品構造を標準化することが目的なら、標準のBOMツリーをつくるのも有効です。既存部品の再利用を促すなら、単なる部品のデータベースではなく、設計者にプッシュ型で部品を提案するような仕掛けが必要です。あるいは、部品の所要量予測に使用するのであれば、組み立て順をBOMに織り込んでいくことが重要になります。

 よりどころになるのは目的です。BOM構築が目的化すると「どっちが正しいか」迷います。良い状態なのかどうかを判断する軸が持てなくなってしまいます。その結果、BOMを作るのにかかる費用や工数ばかりが気になり、良いBOMづくりが余計に疎かになることもあります。

 同じことがプラットフォーム化にも当てはまります。「プラットフォーム化」を目的に進めると、どこかで迷いがでます。アーキテクチャの共通化とコストのトレードオフや、ラインナップ数と共通化のトレードオフにもぶつかります。明確な「目的」を持っていれば、そのトレードオフにも惑わされることなく、進めることができます。

 プラットフォーム化を実現するために何が最も重要なのかと尋ねられれば、私は迷わず「目的」と答えます。その目的は実にさまざまです。

  1. マスカスタマイゼーションを可能にし、製品を差別化するため
  2. 海外における現地企画開発を可能にするため
  3. 部品を標準化し、サプライチェーンを強化するため
  4. 受注開発生産から企画生産・提案型営業に移行するため
  5. 開発要員を増やさずに、モデル数を増やすため
  6. 現状の製品を小さな変更で新規市場に導入するため
  7. 品種を減らし、在庫・販売効率を高めるため
  8. 次のイノベーションを起こすのに必要な工数を捻出するため

 ただし、「プラットフォーム化」そのものを目的化することはあまりお勧めできません。理由は、前述したような“迷い”を解消できないためです。より上位の目的があると、良いでしょう。

 「良い目的」かどうかを2つの観点で評価してはどうでしょうか。

  1. より多くの人にとって共通の目的かどうか?(経営上のインパクト)
  2. 目的を果たせたかどうか、客観的に見えるかどうか?(可視性)

 「繰り返し設計がムダだから」という目的の場合、一段レベルアップすることを考えてみてはどうでしょう。“繰り返し設計”というのは、設計部門以外では、なかなか共有することができません。また、何が“ムダ”なのかは主観的になってしまうことが多いです。「繰り返し設計を減らし、新製品を1機種新たに開発するため」というレベルに上げることで、経営上のインパクトも可視性も格段に向上します。より多くの人に影響を与え、見える目的を掲げることで、迷いが減るだけでなく、協力者が増えるという効果も期待できます。

 なぜプラットフォーム化を行うのか、その目的を忘れれば忘れるほど、失敗の確率は高まります。なぜなら、製品設計に無数の解があるように、プラットフォーム化にも無数の解があるからです。その無数の解の中から、自分たちの目的にベストな解をぜひ見つけてください。

※ 本連載に関連するプロセス改革施策にご興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。

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