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HOMEスキルアップマネジメントイノベーション、中国発 ?! > 「リンゴの皮」から何が見えるか

イノベーション、中国発 ?!

「リンゴの皮」から何が見えるか

  • 徐 航明
  • 2011/05/27 10:00
  • 1/3ページ

 昨年の半ばから、中国では「リンゴの皮」が大きな話題を呼んだ。これは、食べ物の「リンゴの皮」ではなく、「リンゴの皮520」〔“520”の中国語の発音は、中国語の“我愛你”(私はあなたを愛する)に似ている〕という電子製品である。SIMカードが差し込まれたこのリンゴの皮と呼ばれるケースに「iPod touch」を装着すると、通話やショートメッセージサービス(SMS)といった機能などを追加して“iPhone化”できる。iPod touchを包んでいるカタチが、まさに「リンゴの皮」のようだ。iPhoneに比べて安価なiPod touchに通話・メール機能を付け加えるこの製品は、瞬く間に中国で大きな人気を博し、IT業界をも驚かせたという。『日経トレンディネット』でも詳しく紹介された

 これを世の中に送り出したのは電子メーカーではなく、中国の経済特区深圳市にいる草の根ともいえる中国の二人の青年だった。昨年の8月、中国で有名な新聞紙『南方週末』で、この二人に関する長編インタビューが掲載された。この二人は実は兄弟であり、弟は無名大学の普通の学生、兄は零細企業の共同経営者の一人である。弟は、ソフトやDIYに興味がありiPhoneのファンでもあったが、高くて購入できないので自分でiPod touchを改造することに挑戦した。偶然かもしれないが、多くのベンチャー創業物語と同様に、リンゴの皮520も深圳のある車庫から生まれたという。

 『南方週末』のインタビューによると、二人はゼロから出発した。ネットを通じて海外のエンジニアに聞き、アップルの公開技術資料を参考した以外には、ほとんど自立で問題を解決、試作を繰り返してiPod touchに通話機能を付け加えた。元々は自ら利用することが目的で、販売しようとは思っていなかった。途中でビジネスチャンスがあると考え、販売に踏み切ったわけだ。ところが発売を開始した直後、安定性や品質に問題があったこと、iPod touchを脱獄(Jailbreak:アップルによる制限を解除すること)して非正規アプリを動作させなければならなかったこと、さらには「リンゴの皮」を真似た粗悪な製品が多数登場して市場が混乱したこと、などの要因により、想定していたほど市場は広がらなかった。

 中国では、それが若者による一種のイノベーションであると主張している人が多い。アップル社あるいは他の会社が類似のアイデアの特許を取得しているもかしれないし、またこうした脱獄の合法性を問われる見方も少なくはない。しかし、そのような大胆な発想となんとか実現してみようとするチャレンジ精神を、評価すべきとの声が多く上がっている。

 『南方週末』によると、この二人は「リンゴの皮」以外にもいくつかの発想を持っていて、挑戦しようとしているという。30年前に改革・開放という国策が始まってから、中国では起業のブームが続いてきた。特に、国からの優遇政策を持つ「経済特区」である深圳では、起業を重んずる風潮が中国のどこよりも盛んである。そこには無名の零細企業や中小企業が数えられないほど存在する。その中には、深圳でゼロから事業をスタートし、巨大企業へと成長した民営会社も少なくない。例えば、華為技術(世界No.3の通信設備メーカー)、騰迅(中国最大のインタネットサービス企業)、BYD(2次電池と電気自動車で世界の注目を集める総合電子/自動車メーカー)など多くの著名な企業がある。

 「リンゴの皮」が深圳で生まれたのは、そういった背景が関連していると思われる。近年、騰迅をはじめとした多数のネット企業は、相次いでアメリカのニューヨーク証券取引所とナスダックに上場した。そういった起業で成功した創業者らは、中国の若者が憧れる対象である。本屋では、そういった創業者の自伝や成功談の本がずらっと並んでいる。起業やイノベーションといった言葉は、マスコミではもっとも頻繁に登場する。こういった起業精神は、これまでの「中国製造」から「中国創造」へ転換しており、中国の経済成長を持続させる一番の原動力ではないだろうか。

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