プラットフォームは半完成品です。製品のすべてではありません。今回は、これまであまり語らなかったプラットフォーム以外の部分、つまり、オプションについて「海外で何が売れるのか」「揃えるべきラインナップの数は」という良くある疑問に答えていきたいと思います。

海外では何が売れるのか

 プラットフォーム化によって幅広いラインナップを構築すると、グローバルな展開が有利になります。この話をすると、「グローバルに何が売れるかを教えてほしい」というリクエストを受けることがよくあります。

 中国ではどんな商品が売れるのか? インドでは? に答えるには、その国のことを熟知していないといけません。例えば、インドでは電力事情が不安定なため、テレビにバックアップの蓄電池が搭載されたことがヒットに結びつきました。あるいは、民族衣装である生地の薄いサリーがからまらないような工夫を洗濯機に加えたところ、大きく支持されたようです。つまり、各地の文化を知り、消費者が置かれている環境を把握することで、どのような事柄に消費者は価値を見い出すのかを探ります。

 このような新しい価値は、市場調査というものではあぶり出すことが困難だという特色を持っています。“調査”する対象にない商品を探しているのですから、当たり前です。また消費者を集めて、何が欲しいのかを尋ねても分かりません。インドの消費者にどのようなテレビが欲しいかを尋ねたところで、もっと安い、もっと大きい、などの答えが返ってくるのが関の山です。停電時にテレビが切れるのが当たり前の人たちには、『テレビにバックアップ蓄電池をつける』というアイデアは生まれにくいのです。

 では、何をするのか。まず、消費者や購入者の目線で状況を捉えることが重要になります。「テレビが時々切れる」ということに気づくことです。そして次に、その状況に置かれた消費者にどのような価値が求められるのか、という潜在的な欲求を見つけます。衣食住に関わるような欲求から、名誉といった欲求など、人間が持つ基本的な欲求をベースに価値を探し当てることを行います。これにより「停電時でも安定してテレビから情報を得る」という価値に着眼することになります。

 この潜在的な価値を見つけ出すための手法にはエスノグラフィをはじめとする手法はいくつか存在しますが、共通していることは消費者の立場を観察した上で、消費者に対する洞察を深めることです。そのため、現地に企画担当者を派遣したり、商品企画あるいはオプション部の開発を現地化したりするのも有効です。ここで断っておきたいのは、プラットフォームの開発がしっかりしていないと、現地化は困難の連続になるということです。さまざまな付加価値を加えることができるようなプラットフォームがあればこそ、現地化や商品企画の試行錯誤も可能になります。

揃えるべきラインナップの数は