従来型のUV(紫外線)ランプの市場は現在、4億2700万米ドルの規模である。しかし、小型であることや低いコスト、環境に優しい構成などの理由により、紫外線を発する発光ダイオード(紫外線LED)が従来型のランプに代わって、携帯機器を中心とする多くの新しい用途を生み出すと期待されている。

 仏Yole Developpement社は、紫外線LED市場は2016年までに1億1500万ドルになると予想する。この予想は、UVA(波長が315-400nmである紫外線) LEDが紫外線硬化の用途において大きな可能性を持っていることをベースにしている。同用途が拡大するのは、ウエハーや空気滅菌に対する需要が増える時である。

 2010年は、紫外線LED市場(研究開発を除く)の90%以上が紫外線硬化や偽造検出、計装といったUVAやUVB(波長が280-315nmである紫外線)を利用する用途に関連したものだった。残りの10%には、UVA LED を光触媒に利用した空気清浄や、UVC(波長が280nm未満である紫外線)を利用した色彩分光計などがある。

 UVA(波長が315-400 nm の紫外線)に関する事業は現在、UV LEDの中心的な市場となっていて、この傾向は少なくとも今後5年間は続くと考えられている。UVAは2010年に市場の90%を占めていたが、それは2016年までに80%に低下すると予想されている。

 UVAの主な用途としては、紫外線硬化、文書や紙幣の検査、光触媒を利用する空気清浄機などがある。そういった用途の中で、最も力強くまた重要なUVAランプの市場は紫外線硬化分野である。ここでは、紫外線LEDは従来型の水銀ランプと競合することになる。この市場は1億2000万ドルとかなり規模が大きく、従来型の技術よりも高速かつ環境に優しいコーティングにより、10%以上成長する可能性がある。

 興味深いことに、過去5年の間にシステムやパッケージングの分野に多くのプレイヤーが参入した。有名な所では、Heraeus Noblelight社(伝統的な水銀ランプのメーカー)やLuminus Devices社、Phoseon Technology社、Clearstone Technologies社、浜松ホトニクス、パナソニック、オムロン、Integrated System Technologies(IST)社、Metz-Werke社、Dr. H?nle社などである。

 UVCの分野においては、市場の開拓者であるSET社がLEDの出力を順調に高めている。そして日亜化学工業や創光科学、Nitek社、産業技術総合研究所、Crystal IS社といった新たなプレイヤーも技術の改良を進めている。