2010年に初めて、フリップチップの生産量が300mmウェハー換算で580万枚に到達した。現在では、2016年に1000万枚に近づくと期待されている(図2参照)。そのようなパッケージング技術を使った機器にはGPUやCPU、チップセットが含まれる。それらは、2010年には市場の60%以上を占め、今後5年間でのさらなる成長が予想されている。本格的な成長は、年間22%の速度で成長しているスマートフォン向けアプリケーション・プロセサによっても実現されるだろう。

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 その他の応用分野は細分化していて、2010年においては市場の10%に届かなかった。RFトランシーバやパワーアンプ、パワーマネジメント・ユニット、CMOSセンサ、無線及び有線DSP(digital signal processor)などがこれに含まれる。

 おそらく最も驚くべき部分は、ウエハ・バンピングという観点から見たインフラだろう。これは完全に予想に反している。フリップ・チップ・バンピングの処理能力に関しては、OSAT(outsourced assembly and test:組立・テストのアウトソーシング)が主流になると予想していた人が多いと思うが、これは完全に逆になりつつある。世界のフリップ・チップ・バンピングの処理能力のうち50%近くをインテルやTI、サムスンといったIDM(垂直統合型デバイスメーカー)、もしくはTSMCやGlobalFoundriesといったファウンドリが保有している。こういった企業は圧倒的に大きな市場プレイヤーであり、現在も投資を続けている。

 前工程を担当する企業による高度なパッケージング技術に対する投資や、さらなる投資に向けた動きは、IDMやICファウンドリにとってパッケージングの重要性が高まってきていることを象徴している。チップの価値の中でパッケージングが占める割合が高まってきていることは明らかだ。

 XintecとTSMC、Nanium、カシオマイクロニクスは「ミッドエンド・ファウンドリ」という概念の登場とその後の成長に貢献している。この概念は、バックエンド・サービスを提供するためにフロントエンド処理を再利用することを含んでいる。

 そして、標準的なウエハーレベル・チップサイズ・パッケージ(CWLCSP)は、2015年までに市場規模を50億ドルにまで拡大する可能性を持っている。このことは、IDMやICファウンドリの注意を引き、また投資を呼び込んでいる。これは、パッケージングによってフロントエンド処理に付加価値を与えるためのちょっとした戦略と言える。市場の拡大に加え、こういった動きはIC業界における目覚しい変化であると言える。