フリップチップ市場の動向は、あなたを驚かせるかもしれない。フリップチップ市場は、今後5年間で毎年15%以上の成長が見込まれている。フリップチップによってプリント基板と機器の隙間を埋められることが、この成長の大きな要因になっている(仏Yole Developpement社がまとめた図1参照)。この需要増の背景にはいくつかの鍵となる要因がある。

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 まず第一に、高まり続けるI/O密度やそのために必要になる大きなダイとパッケージのファン・アウト面積、またファインピッチ基板との相互接続(I/O相互接続の隙間を埋めるため)には、フリップチップを使用する以外の手段がないことである。このことは、例えばフリップチップのチップ・スケール・パッケージ(fcCSP)やGPU、CPUにおけるアプリケーション・プロセサに特に当てはまる。また、フリップチップのボール・グリッド・アレイ(fcBGA)、さらにはチップ・オン・グラス(COG)やチップ・オン・フレックス(COF)のディスプレイ・ドライバについても同様のことが言える。

 電気的な性能やインタフェースの帯域幅に対する要求も、特にアプリケーション・プロセサやGPU、FPGA、ASIC、パワーマネジメント・ユニット、RFトランシーバといった分野での需要を押し上げている。CPUやGPU、パワーアンプに必要とされる熱対策も、需要増の鍵となっている。さらに、ソーフィルタに求められる密封性も要素の一つである。CMOSセンサやLEDなどに用いられる人間工学やトポロジーもそうである。

 通常、コストはフリップチップを選択する主な理由にはならない。フリップチップは、すべての半導体パッケージの10%未満、また半導体組立・パッケージング市場において27%ほどを占めているにすぎない。しかし、Au配線接続の空前の高コスト化と、生産量の増加による規模の経済によって、フリップチップのコストはかなり下がって来ている。