震災で大きな被害を受けたコンビナート
震災後すぐに化学業界の方から話を聴いた。いくつかのコンビナートに大きな被害が出ている、国の支援がなければ早急な工場再開は難しいとのことだった。化学産業は、自動車や電子機器だけでなく、災害復興に必要な医療や上水道等のライフライン構築にも必要なサプライチェーンの要であり、影響が大きい。
そして、3月末に石巻にボランティアとして瓦礫の撤去に参加した。その時に被災した石巻港と工場を見たが、本当にこの港と工場を復旧できるのだろうかと思った。また同時に、石油化学コンビナートがある茨城県の鹿島港も同じような状況だろうと推察した。
シェアの大きい被災地の化学工場
東日本大震災では、津波の影響により特に鹿島コンビナートや千葉県の市原コンビナートで発電設備やバース港に大きな被害があった。市原では、旭硝子千葉工場(次亜塩素酸ソーダ)、丸善石油化学千葉工場(エチレンセンター・印刷インク用原料)。鹿島では、三菱化学鹿島工場(エチレンセンター)、カネカ鹿島工場(医療用塩ビ樹脂)、DIC鹿島工場(カラーフィルター用顔料)、旭硝子鹿島工場(次亜塩素酸ソーダ)、日立化成山崎事業所(リチウムイオン電池用負極材)である。
そして、エチレンセンターの停止により、自動車や半導体等への部材の供給に支障が生じたようだ。2009年12月末時点でエチレンの国内生産量は730万トン、そのうち11%が三菱化学・鹿島コンビナートで製造されている。また、ポリプロピレン同様に国内生産約330万トンのうち20%を占める日本ポリプロの鹿島工場が被災し、サプライチェーンに大きな影響を与えている。