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HOMEものづくりモジュラー化の先にあるもの > 第11回・新感覚の製品開発 《虫の眼、鳥の眼、魚の眼》

モジュラー化の先にあるもの

第11回・新感覚の製品開発 《虫の眼、鳥の眼、魚の眼》

  • 津田 真吾=iTiDコンサルティング ディレクター
  • 2011/04/25 00:00
  • 1/4ページ

 びっくりしました。

 「オレもロシア出身だから、原発の怖さは良く知ってるんだ。力になるよ。」

 先日、突然アメリカから電話があり開口一番言われました。相手は以前何度かメールのやり取りをしたことがあるだけの、ベンチャー創業者。事業があまり上手くいっていないと聞いていたので、人の心配をしている場合ではないのに。

 放射能の風評や情報公開の遅れなどで、日本の評価が落ちているというニュースがありますが、世界は日本に共感し、身近に感じていることを実感しました。日本の輸出企業には逆風があるなか、グローバル化への強い追い風もあります。

 これまでのコラムを通じて、より多くの市場に向けた製品開発を効率的に実現するための道筋を紹介してきました。その製品の中核がプラットフォームということになります。メタボにならないようなプラットフォーム要件の分析、インターフェースの定義、ロバスト性の確認(6月17日に大阪で開催する「ロバストプラットフォームセミナー」では、これらのプラットフォーム化に必要な観点の自己診断を行うことができます。)これら一通りの手順を踏むと、携帯ラジオの開発風景がどう変わるのか、見てみましょう。

 あなたはまず、メタボにならないよう、販売実績を社内で聞いて回った。すべてを集約するには、国別の担当、製品別の担当という縦串・横串の複雑な組織を制覇しなくてはならない。

 骨は折れたが、大きな収穫はあった。インド担当者は中国の情報を正確に捉えておらず、AMラジオの担当者はまったくFMラジオについて知らなった。最初は面倒くさがっていた担当も、集まった情報を共有すると、とたんに反応が変わった。高級機種の担当者は、廉価機種でも性能がかなり高くなっていることに驚いたのだ。

 「このスペックなら、チューナーは共通でもいいかもしれない。」と、ボソりつぶやいた。

 ずっと設計部門にいると、企画部門はいかにも一枚岩のように見えていたのだが、実情は違ったようだ。考えてみれば、自分もとなりの部門でどんな開発をやっているのか把握していないのだから、やむを得ないかも知れない。気を良くしたあなたは、引き続き情報を集め、競合機種についても調べた。

 始める前は、まったく集まらないのではないか、あるいは表計算ソフトに入りきらないほどのデータがあるのではないか、などと心配をしていたものだった。だが、その大量のデータを前にすると、かえって『多くの市場にとって魅力ある商品をつくりたい』という思いが強くなったのだ。

 タコ壺化の兆候が見えたなら、プラットフォーム化に取り組むべきかもしれません。各自が専門性を追求するあまり、周りが見えなくなっていないでしょうか。だれしも一つの領域を極めたくなるタコのような習性を持っています。しかし、より深く専門分野に入り込み極めていくからといって、周りを見なくてもよいわけではありません。むしろこの例のように、少し周りを見渡すことは自分の仕事に意味を与えるのです。

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