図2では、2000年から2010年の期間における加速度計の様々なパラメータの進化、また今後10年間に起こると予想される進化を表している。

図2●MEMSのパラメータの変化
タイトル

●少なくとも係数10で割られる(削減される)ダイ表面積
●消費電力の減少
●ほぼ100の係数で増加する生産量
●生産インフラとパッケージング技術の進化

 しかし、MEMSデバイスの種類によって生産コストはまだ大きく異なる。図3では、MEMSデバイスの部分別(MEMSダイとASICダイ、後工程)に相対コストを比較している。

図3●MEMSデバイスの部分別に相対コストを比較
タイトル

●MEMSダイは平均で、MEMSデバイスのコストの2~3割を占めている。つまり、MEMSダイによって実現される重要な機能(検出機能)は生産コストに占める割合が小さい。
●後工程(パッケージングとテスト)のコストは、MEMSデバイスの生産コストの35%以上を占めている。
●デバイスが成熟するにつれ、ASICのコストはどんどん下がっていく。ASICの複雑さは増す可能性があるが、シリコンの使用量が減るからである。つまり現在では、ソフトウェアがMEMSデバイスに最も大きな価値を与えていることになる。なぜなら、振動子ではなくソフトウェアが機能を実現しているからである。

 結論としては、MEMS業界は過去10年間に信じられないくらいの変化を経験してきたといえる。伊仏合弁STMicroelectronics社が3軸加速度センサを家電向けに導入して以来、市場はたった5年で係数10の速さで成長した。一方で、デバイスの価格は係数12で下落し、このレベルでも競争力を保てる少数の企業によって技術競争が進んでいる。私達は今、MEMS革命の始まりを目にしているに過ぎないのだ。