「最新の図面も無いし構造が複雑、現状実態把握は、時間がかかって大変過ぎる」などと、アンタッチャブル領域と認識されがちなエア漏れ問題。実際に現場に行ってみたところ、1時間くらいでラインの一部のスケッチが完了した。配管状況を見える化した結果、この現場がどう変わっていったのか。今回は、軽犯罪と捉えられるエア漏れの問題解決の本質と解決方法について、解説する。

1時間あればここまでできる! 率先垂範が起爆剤に

 第2回で、配管のスケッチを終えたのち、プロジェクトメンバーとミーティングルームで、1時間ほどかけてより詳細に描画を詰めた。この時点で、メンバーの意識が変わりはじめた。「あれ? これならサクっとすべての配管のスケッチができるかもしれない」。

 やがて約1カ月間で、対象現場のエア配管のフロー図が完成した。スケッチの過程で出てきた疑問やロス発見を「気づき」として整理したところ、改善のヒントも得られた。ここまで来たら、エア漏れに関連する部門内の構造を論理的にまとめ上げ、全員参加のカイゼンに進むことが可能になる。

改善へのシナリオ手法――段階的に達成度のある取組みを展開する

 問題構造があきらかになれば、必要性や可能性等の観点から優先度を決めたアクションプランを策定できる。そして、すぐさま行動に移す。いざ、アクションになった場合、図1のように、プロジェクトに参加した人が達成感を感じながらレベルアップしていけるようなプロジェクトの仕掛けがあると効果的だ。

図1●五つの「見える化」でエアー改善と強化へ
タイトル

 エア漏れの根治解決を行ったプロジェクトでは、図1にあるように、五つのステップで進めた。

ステップ1:配管の「見える化」
フロー図を描画し、現状実態を把握することが第一歩である。その際、配管サイズやバルブの位置と開閉(調整も)、分岐先とや大まかな用途(工程単位でも可能)等は把握しておきたい。フロー図としての仕上がりは80%程度で十分。無駄や改善のヒント等、気づいた点はその都度記録しておくこと。
現場が今後も自ら手を入れられるよう、エクセルやパワーポイント等汎用性のあるツールを使うと良いだろう。