製品の中核となるプラットフォームの輪郭を定める際に、どのような外乱や誤差を考慮すべきなのでしょうか。まず、インタフェースが時間的な変化に耐えるかどうかを検証します。ある一定期間はプラットフォームが活用されることを考えると、その間に変化が起こり得るかを考慮します。一世代だけの開発に活用する場合にも、製品を開発している期間およびその後の発売期間、つまり製品ライフサイクルを通じた変化に注意する必要があります。

 もう一つ考慮すべきなのは市場や地域によるバラツキです。時間的変化に対して、空間的変化と呼びます。時間的・空間的な外乱・誤差の中、ブレない、ロバストなプラットフォームになっていることを、詳細設計を開始する前に検証しておく必要があります。なぜなら、詳細設計が始まってからでは、個別のすり合わせに頼ってしまい、共通化や並行作業ができなくなるためです。

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 時間的な変化、空間的な変化に対して、プラットフォームを検証していくプロセスを経て、信頼できるプラットフォームが形作られます。

 従来の開発スタイルと比べて、設計者にとって最も違和感があるのが、このロバスト性検証ではないでしょうか。製品ラインナップ全体を考慮し、“プラットフォーム”という「半完成品」を最初に明確にし、オプションとの線引きを行ってから、詳細設計に着 手する開発スタイルに違和感が生じることでしょう。従来は製品全体の振る舞いを大まかに定義して、互いにすり合わせながら最後に合わせ込むという開発スタイルを取っていることが多いためです。このような組織では、大きな変革が求められることになります。不確実な情報をベースに、ロバストなプラットフォームの輪郭を見出すことは困難を伴います。しかし同時に、この困難は従来の製品開発を行ってきた人にしか超えることができないのです。なぜなら、その製品が使われる用途や使用方法に対する知識や、製品の技術的な理解と経験がないことには、製品の中でどこが時間・空間を超えて普遍的なのかを見極めることはできないからです。

 単に検証するだけでなく、変化に弱い部分を明らかにしながらインタフェースを見直していきます。変化に弱い部分は、オプションの境目を変更することや、インタフェースに冗長性を持たせるアイデアが必要です。この際、技術的な造詣の深さだけでなく、新しい切り口で製品を見るという視点を加えるとアイデアも出やすくなります。

 プラットフォームのロバスト性検証をすることで、「半完成品」であるプラットフォームが製品の中心・中核として存在感を強めることになるでしょう。

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