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新 誠一=電気通信大学教授
2011/04/05 16:00
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 2011年3月11日に発生した東日本大震災を簡単に「3.11」と呼ぶそうである。被災された皆様に,心よりお見舞い申し上げます。

 今回の震災は,「想定外」の地震,「想定外」の津波,そして「想定外」の原子炉暴走,「想定外」の計画停電だそうである。マグニチュード9の地震も,15mを越える津波も,非常用発電機の流出も,毎日3時間の停電も前例がない。つまり,3.11以降は前例ベースの将来像は意味をなさないということである。

 そのような訳で,この二十日余りは,私自身の技術戦略の練り直しをせざるをえなかった。特に目先の展開は大きく変わりそうである。「1995年のもんじゅの事故から復活を図った原子力ルネサンスはどうなるか?」,「原子力利用を前提に進んだ電気自動車の展開はいかに?」という具合である。

 今回は,「想定外」を想定内にしなければ意味がない。つまり,前例は参考にならない。大前提として前例に反する案でなければ練り直しとは言えない。こうなると,若者の出番である。前例,前例,前例。前例の羅列では年配者と勝負にならない。想定外は,経験者も未経験者も同列である。いやいや,経験が年配者の足を引っ張るかもしれない。若者よ,今が君の時代である。

 それでは,年配者の出番は? もちろんある。その前に,やってはいけないこと。それは前例を盾に萌芽的なアイデアを潰すことである。これは日本の損失なだけでない,潰した年配者の損失にもなる。時代遅れの烙印を押されないように空気をお読みください。すべて,「想定外」が前提です。

 ここでは「前例を覆すのは若者のアイデア」と持ち上げている。しかし,若者のアイデアの多くは実現性に乏しい。しかし,犬も歩けば棒にあたる。実現できそうなアイデアを拾えるか,そして拾ったアイデアを現実の戦略まで育てあげられるかどうかが経験者の腕の見せ所である。もちろん,練り上げる道中で,また想定外のアイデアが必要となるかもしれない。だから,新旧混じったブレーンストーミングが必要である。技術者の皆様,皆様が支えている世界。その世界が危機にひんしている。ルーチンワークではなく,非常体制で日本の大事に取り組むとき。放射能拡散の防止と,電力のピークカットにまずは集中しましょう。

 私も多くのアイデアを考えたい。全部,「想定外」である。だから,すべて没になるかもしれない。ただ,先に述べたように,一つ当たればめっけものだ。見識のある方のご意見も賜りながら,練り上げてみたい。

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