機能と価値の関係を分析し、メタボにならないよう、製品プラットフォームは基板上のAMチューナーや電源系などのICを含む回路基板に決めた。

 AM/FMのモデルにはAM/FM両方の機能を持つICチューナーに載せ替え、ラインナップを用意する。ボディは女性用や若者用のデザインなどいくつか用意するとともに、世界各国からのニーズを拾いながら、順次製品化していく計画だ。

 すべては順調に進み、プラットフォームは完成した。AM専用モデルとAM/FMモデルそれぞれに、2種類のボディとくっつければ、いくつかの検証テストをして出荷できる段階になった。

 しかし、片方のボディはFMの受信性能が悪く、テストをクリアすることができなかった。AMの方はテストをクリアする。もう一方のボディではAMもFMも問題が出ていない。ボディを取り付けての解析には難儀したが、調べてみると、悪い方のボディを取り付けると、信号にノイズが乗る。取り付けるボディによってその違いが生じていることが確認できた。

 塗装の違いによって、飛び込んでくるノイズが変化し、性能に影響を及ぼしたことが分かった時には、スケジュールは遅れてしまっていた。その後、シールド材を貼り、問題は回避できたが、納期だけでなく、コストも超過してしまった。

 本来は評価されるべきプラットフォーム化だったが、このトラブルのお陰で、微妙な雰囲気。

 塗装とノイズの関係は、一部の人には明らかなのかもしれません。しかし、組み合わせ時にトラブルの元になるのは、ノイズだけとは限らないのです。プラットフォームを決める時に、ネジやイヤホンプラグの位置、大きさは当然のように決めますが、ノイズや熱への耐性は漏れていることが多く、このような事態に陥りがちです。つまり、プラットフォームとオプションの役割分担をする際、インタフェースも漏れなく定義する必要があります。

 見えているインタフェースは定義しやすく、役割分担も明確です。しかし、目に見えないインタフェースを忘れてはいけません。

 インタフェースには、意図して設計したもの、意図せず存在してしまうものの二通りあります。

 ノイズや熱、振動など、好ましくないことに対して、現実的な目標値を設定されていないことを多く見かけます。後で合わせこむよりもはるかに楽になるので、この段階でしっかりとやっておきましょう。外部から来るノイズはボディがどこまでブロックするのか、どれまでのノイズにプラットフォームが耐えなければいけないのか、を決めておけば、組み合わせただけですんなりと製品化できるようになります。

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