逆に、コストを気にしすぎて高機能を犠牲にしてしまうと、差別化ができない中途半端な“帯に短し襷 に長し”という製品ができてしまうことになります。帯は帯としてしっかりした長さに、襷は襷として十分な長さにして、それぞれを開発すべきです。そのための「要件ばらし」です。

 ここまで説明してきたように、ユーザー側の視点で製品を「因数分解」し、プラットフォームとオプションに分けることができれば、限られた機能だけを求めるローエンドのユーザーを充足させながら、「もっと」を期待するハイエンドのユーザーに訴求することができるようになるのです。

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 ところが、これまで「もっと」ばかりで多機能化・高性能化のみを追求してきた開発チームにとっては、どこまでをプラットフォームの要件にするべきか難しい判断が迫られます。いろいろな意見を聞けば聞くほど、要件は膨らみ、“メタボ”に近づきます。決め切れず「間を取った」判断をすると魅力が低い“帯に短し襷に長し”になってしまいます。「要件ばらし」によってユーザー視点で製品を見ることができたら、どのように判断するのでしょう。次回はそれについて解説したいと思います。

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