Tessier氏は、電子部品の0.3mmピッチへの移行とウエハー・レベルCSPの3次元積層を見込んでいる。Tessier氏は、ファンアウト型が生き残るためには、大幅なコスト削減を実現する必要があると感じているという。

 Strothmann氏は、新たな材料と構造の登場により、ファンイン型の突起の間隔は縮小し、入出力端子の数は増えるとしている。多くの技術革新はファンイン型とファンアウト型、3次元積層に共通に役立つものであるため、技術革新のための投資は効果的なものになる。

 Siインターポーザーに関する大多数の意見は、それが熱膨張係数の整合もしくは電力経路や受動部品に関する追加の機能性という意味で強みを発揮できる市場があるということだ。しかし、それ以外の分野では広範囲での採用は期待できないというのも大多数の意見である。Tessier氏は、実装密度の高いプリント基板の十分な供給によって、チップ埋め込み型のWLPがウエハーベースのファンアウト型技術に取って代わるだろうと考える。

 IMEC社のBeyne氏は、WLPが3次元化するためには加工スキルの強化と相当の資本投資が必要であるとする。仮にWLP関連の設備投資があるとすれば、それは3次元WLPのTSV(Through Silicon Via:シリコン貫通ビア)を実現するという目的で行われると考えている。しかし、利幅の少ない下請業者は、そのような新技術の開発のために投資をすることはないだろうと予想する。

 Tessier氏は、ウエハーとウエハー(Wafer-to-Wafer)もしくはダイとウエハー(Die-to-Wafer)の積層に耐えるだけの物流管理に関する問題を指摘する。また、チップ埋め込み型のWLPが、TSVの3次元パッケージングに代わる有力な選択肢になると期待している。なぜなら、3次元接続は物流管理におけるパッケージング工程のみを利用して行えるからだ。

 「41以上の企業が、実装密度の高いフリップチップBGA基板のために堅固なサプライ・チェーンを世界中で提供している。これらは、一時的に脚光を浴びているだけのファンアウト型ウエハー・レベルCSP技術に対する有力な代替手段をもたらすために、すぐにでも利用できる」とTessier氏は言う。

 しかし、Stepniak氏は、ファンイン型の成功は、ファンアウト型の成長と高度な3次元構造の実現を可能にすると考えている。それらは、フォーム・ファクター対策やファンイン型を成長に導いた性能のために、まず第一に携帯機器市場に入り込むだろうと氏は予想する。

 これら4人の専門家はすべて、TSVを伴う3次元積層はファンイン型のウエハー・レベルCSPと同じ広まり方をするだろうと予測する。まずは小型化が進み、つぎにコストが削減されるということである。しかしTessier氏は、異論も唱える。氏は、TVSを伴う3次元積層の実現に必要なコストやインフラの変更は相当なもので、ウエハーの製造工場、ファウンドリ、ウエハーレベルの加工やテストといったサプライ・チェーン全体に影響を及ぼすと予測する。そして、そういった遠大な挑戦は大きすぎるリスクを生み出すとする。「ファンイン型のウエハー・レベルCSPは既存のフリップチップ・バンピングと再配分の技術の活用を可能にする。つまりこれはもっと現実的な話だ」とTessier氏は言う。

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この記事の掲載当初,本文中で「金型」としていたのは「ダイ」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。