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第2回・「モジュラー化」ではだめなの?

津田 真吾=iTiDコンサルティング ディレクター
2010/12/13 00:00
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 前回、ガラパゴス化は多様で魅力的な製品を生む半面、外来種との生存競争にさらされると、生存の危機があるという話をしました。そして、「プラットフォーム化」によってその危機をチャンスに変えることができると。

 しかし、このプラットフォーム化という考え方は「標準化」や「共通化」、あるいは「モジュール化」と誤解されているため、このチャンスを逃していることが実に多いのです。それもそのはず、プラットフォーム化はそれぞれの側面を兼ねそろえているためです。つまり、数式に書くとすると、

 プラットフォーム化=標準化×共通化×モジュール化となります。

 プラットフォーム化を理解するために、「標準化」「共通化」「モジュール化」のそれぞれが誕生した背景を見ていくことにしましょう。

標準化: この言葉は「作業標準」「標準時間」「設計標準書」など、さまざまな事柄の出来栄えを揃えることを主眼としており、ものづくりの現場で良く聞きます。繰り返し行う作業のバラツキを抑えるための作業基準を定めたのが「作業標準」、作業速度の基準を定めたのが「標準時間」、公差や図面の書き方の基準を定めたのが「設計標準書」といった具合に使用されています。つまり、「部品の標準化」という言葉にはバラツキを抑え、品質を高めるという狙いが込められています。実績のある部品が「標準部品」として登録され、必要に応じて再利用されるのが一般的なイメージではないでしょうか。一つの部品が同じ製品で繰り返し使われるような「標準部品」もあります。

 日本の製造業が世界に向けて安い製品を大量に供給していた時代に生まれ、品質を高めるための手段が「標準化」なのです。

共通化: 「共通部品」というと、複数の製品間で共有される部品を指します。つまり、「部品共通化」というと、いくつかの製品間の共通項を増やすことを意味しており、必ずしも実績のある部品を使うとは限らないのではないでしょうか。新製品のラインナップに「共通部品」があるというプレスリリースがあると、必ずと言っていいほどコスト削減を狙ったものであることが多いです。一方、「標準部品」というプレスリリースでは、供給能力や、品質の統一の手段であることが多くなります。「共通化」の主目的は同一部品の使用頻度を高め、量産効果を通じたコスト削減であるということがいえます。日本の製造業が、世界的に評価され、一定の市場を獲得した際、類似品を生産する無駄を減らすために生まれたのが「共通化」です。

モジュール化: 製品全体をいくつかの独立したブロックに分割可能にすることを指します。独立したモジュールに分割することにより、機能や性能モジュール単位で評価できるため、製品に組み込むことなく、部分的な完成度を早期から高めることが可能となるのです。例えば、モジュール化の代表であるデスクトップパソコンはマザーボード、電源ユニット、ハードディスク、グラフィックボード、などいくつかのモジュールに分解できます。

 そして、それぞれの機能は明確に決まっており、他の製品にも組み込むことが可能です。例えば、記憶容量を増やした新しいパソコンを開発するには、容量の大きなハードディスクを搭載すると言った具合に。むしろ現在行われているように、ハードディスクの開発や評価は専業メーカーが規格に沿って行えばよいのです。機能が独立していることの利益はまさにこの点にあります。並行して開発を進め、すり合わせを減らすことで効率化が図れます。必要となるコミュニケーションが減るため、分業や外製化による開発リードタイムの短縮を図ることが「モジュール化」の最大のメリットです。新しい技術をいち早く製品化する際に多くの企業がとった戦略が「モジュール化」なのです。

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