設計・生産 ものづくり現場の競争力アップに貢献する
 
黒河 博人=’K Design代表
2010/12/07 11:00
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 前回まで説明してきたように、部品メーカーで設計を3次元化する上では、セットメーカーでの問題を増幅したような独特の困難さにしばしば直面する。その1つが、部品メーカーでの図面の扱いである。

 3次元CAD/CAM導入による図面レス化、あるいは図面省力化は、セットメーカーでさえいまだに円滑に進行していない企業が多い。部品メーカーでの図面の扱いには、実はセットメーカーにも輪を掛けて困難な問題が存在しており、3次元化を阻害していた重要な要因であることにほぼ間違いはない。

絡み合う多面的な図面管理

 以下の図は、筆者が所属したある部品メーカーの図面体系を示したものだ(図の左の列)。非常に図面の種類が多い。セットメーカーであれば、図面体系は部品図と、部品を組んだアセンブリ図、というようにシンプルである。シンプルであればそれだけ、3次元化を推進していくときにも体系的、かつ円滑な推進が可能になる。ところがこの部品メーカーでは、例えば同じアセンブリを表現するのに、6種類もの図面があったのである。具体的には「製品図」「英文製品図」「機構図」「英文機構図」「製品別部品表」「分析図」の6つだった。

 そんなに多数の区別がなぜ必要なのだろうか。この理由は、まさに部品メーカーがサプライヤーであることにつきる。ちょうど金型メーカーで、1つの製品に対して複数種類の型図などが存在するのと類似の現象といえるだろう。

 まず第一に、前回も触れたように部品メーカーはセットメーカーには製品を部品として納めながらも、その部品の部品を作るメーカーからは部品を納めてもらうわけだ。つまり「部品を納める」「部品を納めてもらう」という、両方の立場がある。このことから図面にも二面性が出てくる、というのがセットメーカと異なる点だ。

図●ある部品メーカでの複数のアセンブリ図面と部品図の相関図
[画像のクリックで拡大表示]

客先文書と社内文書

 この部品メーカーでいう「製品図」とは、顧客に提出する客先文書である仕様書を指す。海外の顧客のために、英文のバージョンもまた別モノの「英文製品図」として存在する。対して「機構図」は製品の断面図を通して各部品の組立状態、および各構成部品の材料が何かを記した社内文書である。

 部品メーカーでは構成する部品が少なく、そのため構成している部品材料がそのまま製品の特性を左右するものも少なくないので、材料の情報は社外秘扱いにしたい。そのため、客先文書扱いの製品図とは別モノのアセンブリ図面として、機構図が別に管理されているのである。だから逆に言うと客先文書である製品図には秘匿情報である材料の記述はない*。

 また、機構図はその名のとおり、製品内部の機構状況が断面図として表現してある。これに対し、製品図では内部の構造までは表記されていない。これも構成部品の少ない製品ならではのことで、内部構造がそのままノウハウ流出に直結するからだ。その代わりに製品図ではあくまで製品としての外観やそれを部品として適用する際に必要となる外形寸法、取り付け部高さ、動作時の寸法、部品として必要となる機能が仕様として表現されているのである。

 つまり大まかには、同じ製品の情報なのに社外文書である製品図と社内文書である機構図という二重の管理が必要になる。このことによって、アセンブリ図面が複数派生してくる状況となっていたのである。

(次回に続く)

* 客先によっては環境物質対応で使用材料に関する文書提出を求められることがある。特にUL規格への対応が必須である海外向け案件のためには「英文機構図」も必要となる。

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