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今さら3次元化?常識を覆す部品メーカーの実情

第3回 部品メーカーの製品開発事情

  • 黒河 博人='K Design代表
  • 2010/11/16 11:00
  • 1/1ページ

開発製品に見られる根本的な違い

 さて、前回までに述べたように筆者は3次元CADの導入を数回経験し、さらに前世紀終盤以降さまざまなセットメーカーを見てきた結果、3次元設計はもはや当たり前のこと、と筆者は思い込んでいた。

 ところがここ数年、ふとしたことがきっかけで籍を置いた部品メーカーで見たのは、とてもではないが3次元化どころではない、セットメーカーでは当たり前の常識が通用しない、という現実だった。それは、部品メーカーはセットメーカーより遅れている、という単純な話ではない。部品メーカーでの3次元化の意味は、セットメーカーでのそれとは全く次元が異なる。両方を体験してみて、初めて分かってきたことだ。

 もう少し正確に言うと、「部品メーカーでの3次元化の問題は、セットメーカーよりも取り組みの開始時期が遅いという『時間差の問題』ではない」ということである。時間差の問題なら、単に時期が成熟するのを待てばよいが、それでは済まない。セットメーカーに比べて部品メーカーは、開発する製品の性格に根本的な違いがあることに起因する問題があるのではないだろうか、と筆者は思うようになった。

製品の周期と「フルモデルチェンジ」の有無

 その根本的な違いは、製品開発の周期にある。セットメーカーの製品開発は、基本的には周期的なFMC(Full Model Change)が軸になっている。つまり、設計の標準化をうたいつつも、ある一定の周期で標準化以外の部分では全トッカエに近い製品開発、つまりFMCを実施してわざわざ製品全体を設計しなおす。それによって、セットメーカーは新商品として製品の魅力をアピールし、顧客の購買意欲を刺激することで売り上げを確保、継続してきた。FMCによって製品の隅々まで、構成する部品も標準化部分以外では全部新陳代謝を繰り返してきた、それがセットメーカーの開発の歴史だったといえる。

 部品メーカーでは、その製品開発の事情が大きく異なる。部品メーカーが部品メーカーとして成立するためには、顧客(これが大部分セットメーカーだったりするのだが)にいつでも同じ製品が供給できること、これが至上命題である。だから全トッカエなんてとんでもないし、製品を構成するほんの1つの部品ですら、勝手に仕様を変えることは許されない。

 別の言い方をすれば、とても新陳代謝が悪く、保守的な姿勢である。しかしこの姿勢こそが、顧客との絆を構築し、長年の信頼を獲得して実績を上げ、部品メーカーを会社として繁栄させてきた根拠でもあるわけだ。もちろん、あまりに需要の少ない、採算性の悪い部品をやむなく「廃止のお知らせ」という形で収束させてしまうことはあるが、それはほんの一部分。大部分は、多数の旧態依然とした過去からの膨大な製品群として、延々と存在し続ける。実は筆者が籍を置いた部品メーカーも、そうした歴史によって発展してきたメーカーだった。

 この新陳代謝の有無は、3次元化を実行するチャンスに直結する。セットメーカーではFMCを機会に、それ以後の製品設計をすべて3次元化するという大きな切り替えができる。しかし部品メーカーは、そういうきっかけをつかむことがなかなかできなかった。

(次号につづく)

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