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コラム

独自方式のナノバブル生成装置を開発,水と酸素のみで高い洗浄力を実現〔協和機設〕

2010/08/17 12:00
森野 進=日本起業家新聞社
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出典:日経ものづくり,2009年11月号 ,pp.99-101 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

協和機設のここがすごい!

あらかじめ生成したマイクロバブルを,さらにせん断してナノバブルを発生させる独自の装置を開発した。「ナノバブル生成」をうたう装置は多いが,第三者機関による測定データを公表したのは同社が最初だ。

 協和機設は,液体中にマイクロナノバブルと呼ばれる極めて微小な気泡を生成する技術を持つ。マイクロバブルとナノバブルの区分けに明確な基準はないが,一般に粒径が数百nm以下の気泡をナノバブルといい,粒径がやや大きく数十μm程度までの気泡をマイクロバブルという。

 同社の気泡生成装置「BUVITAS」は,生成過程でこれらの気泡が混合状態になるため,マイクロナノバブル生成装置としている。同装置は,水(井戸水や海水にも対応)や,粘度の低い鉱物油などに,大気,酸素,窒素,オゾン,水素など多様な気体のマイクロナノバブルを含ませることができる。ただし,マイクロバブルの方は10分以内にほぼ全数がはじけて消滅するので,実際にはナノバブルだけを利用している。例えば,水中に酸素のナノバブルを分散させると洗浄力が大幅に高まる。これは,樹脂製品の洗浄や業務用トイレの清掃などに,既に使われている。

マイクロナノバブル生成の様子
マイクロナノバブル生成の様子
電源を入れて約1分が経過すると,マイクロバブルにより水槽内全体が白濁する(a)。電源を切って2〜3分経過すると水槽の下の方から透明になり始める(b)。マイクロバブルが消滅するためだ。ナノバブルは帯電しているので長時間消えないが,肉眼では見えない。

第三者の確認データを公表

 ナノバブルは10年ほど前から,学会や産業界で注目されるようになった技術だ。例えば,粒径1mmの気泡1個を100nmの気泡に分割すると,その数は1兆個になり,総表面積は1万倍になる。さらに,気体の種類を変えたり帯電させたりすることで,この微細な気泡に界面活性作用や生理活性作用,気泡の圧壊時に発生する衝撃圧力作用など,多様な機能を持たせられるのだ。

 しかし,話題になった割には実用化が遅れた。ナノバブルを安定的に生成することが難しいためだ。こうした状況の中で,協和機設は2004年に同生成装置を発表したが,反応は冷ややかだった。「nmレベルの気泡が本当にできているのか」という疑いが根強かった。ところが2006年の夏を境に状況が大きく変わる。同社の生成装置が,第三者機関による確認データを初めて取得したからだ。医学臨床データ解析会社のベックマン・コールター(本社東京)に純水と酸素で造ったナノバブル水のサンプルを送り分析を依頼したところ,外部からの疑念を払拭するのに十分なデータが出た。

 コールターカウンタ(細胞計数装置)で測定したところ,気泡を発生させてから40時間後の液体でも,粒径500nmの気泡が水1mL当たり51万7000個も確認されたのである。しかも,気泡は1週間経過しても消えなかった。「これで,ようやく認知されるようになった」と協和機設社長の辻秀泰氏は話す。そして,同年12月に丸紅を通じて発売。現在では気泡の発生能力が1.5〜4.0m3/時の3機種をそろえている。価格は350万〜700万円。製造は,広島県福山市内の複数の協力企業に委託し,自社で検査した後に出荷している。

シャボン玉がヒントに

水槽中のバブル
水槽中のバブル
デジタル・マイクロスコープで撮影(3000倍レンズ,5.0μm方眼)。見えている気泡はマイクロバブル。残念ながらナノバブルは見えない。
精密粒度分布測定機
精密粒度分布測定機
ナノバブルの数をカウントしているところ。製品出荷の際にはデータを添付する。
協和機設社長の辻秀泰氏
協和機設社長の辻秀泰氏

 生成装置は事務机に載る程度の大きさである。ステンレス鋼製の筐体の中に気泡の発生機構が組み込まれている。社内に置かれたデモ機では,装置から伸びたパイプの先端がアクリル製の水槽につながれている。

 電源を入れるとモータ音とともにパイプの先端から水流が噴射され,約1分で水槽内全体が白濁する。この時点ではマイクロバブルとナノバブルが混在している。電源を切るとマイクロバブルが徐々に消え始め,水槽の下の方から透明になっていく。約5分後には水は透明の状態に戻るが,粒度分布測定機で測定すると,大量のナノバブルが計測される。現在は測定精度が向上し,1mL当たり,粒径70nmをピークとする粒径分布を持つ800万個の気泡が確認できている。

 ナノバブルの生成方式は,協和機設が「気液混合せん断方式」と呼ぶもの。詳細は明かしていないが,およそ次のようなものだ。まず気体と液体をポンプで吸引し,それを高速で旋回させてマイクロバブルを作る。ここまでは市販の渦流ポンプでも対応できる。

 次に,マイクロバブルを含んだ液体を,筐体内部に設置した円筒形のせん断装置に送り,圧力をかけながらさらに高速で旋回させる。「この際,気泡に大きなせん断力が加わり,マイクロバブルが細かく引きちぎられるようにして,ナノバブルが生成される」(辻氏)。この方法はシャボン玉がヒントになった。「針金の輪にせっけん水を付けて横に振ると,膨らんでからちぎれてシャボン玉になる。同じように,泡を何らかの方法で引きちぎれば,小さくできると考えた」(辻氏)。また,同生成装置で作った気泡は,粒径が小さいだけでなく,生成時の摩擦やせん断力によってマイナスに帯電している。

魔法の泡ではない

 協和機設の装置は多くの分野で利用されている。ポリカーボネートで造った製品の洗浄に使っている企業では,洗浄水を水道水から酸素のナノバブル水に替えただけで,製品に付着した削りカスやグリスなどへの洗浄力が向上したという。3〜4%あった不良率は1%以下になった。削りカスやグリスはプラスに帯電しているので,マイナスのナノバブルが界面活性剤のように働く。

 トイレ清掃では,酸素のナノバブル水で洗い流すだけで汚れを落とせるので,洗剤が不要になる。西日本高速道路の6カ所のサービスエリアやパーキングエリアのトイレ清掃で2009年8月から使われている。「これまで1日1回のトイレ清掃に200〜500Lの水が必要だったが,ナノバブル水だと水の使用量も約1/100に減らせる」と,辻氏は説明する。西日本高速道路は2009年度中に30カ所に拡大する計画だという。

 ナノバブルは,気体や液体の種類を変えることで特性を変えられる。しかし,「魔法の泡ではない」と辻氏は強調する。例えば熱処理後のレジスト洗浄には,ほとんど効果がないという。このため,購入希望者には利用分野を聞き,有効であることを確認してから販売するようにしている。

協和機設
所在地:広島県福山市
協和機設 資本金:1300万円
従業員数:6人
売上高:1億円
主要生産品:マイクロナノバブル生成装置,配管洗浄装置
得意な技術:マイクロナノバブルの生成技術
主要な設備:粒度分布測定機,オゾン生成装置,超音波発生装置
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