多くの太陽電池関連企業が集積している中国・江蘇省の現地取材レポートの第2回。前回は,中国太陽電池産業の全体状況を把握するために訪問した,南京の江蘇省可再生能源オフィスでの議論について紹介した。今回は,江蘇省の代表的な太陽電池メーカーである中国China Sunergy Co., Ltd.(南京中電光伏公司)と中国Trina Solar Ltd.の訪問取材内容を紹介する。

China Sunergy Co., Ltd.(南京中電光伏公司)

概要

 China Sunergy社は,2004年8月に操業を開始した。高効率の太陽電池セルの開発および製造を行う技術主導型のセル専業メーカーである。10本の生産ラインで320MWの生産能力を持っている。規模拡大を追求する多くの中国メーカーとは一線を画している。

 CTOの趙建華氏と,研究開発を担当する副総経理の王艾華氏の指導の下で,同社の研発チームは3年にわたって研究と試作を続け,2007年11月に「SEセル」太陽電池の商業化に成功した。SEセルは,既存プロセスとp型ウエハを基に性能を向上させた単結晶Si太陽電池である。ウエハ材質による影響が少なく,安定した性能を引き出すことができる。

 同社はこのほかn型セルの開発も進めており,2010年第4四半期から試作量産を開始する。平均変換効率も19%を超える見込みである。

会社の状況

 今回の訪問取材では,同社Development & Coordination Dept.主任の〓仁宝(Renbao Sun)氏から,会社説明があった。その中から,同社の特徴を以下にまとめる。(〓は,子へんに小)

(1)高い発電効率の太陽電池セル生産を実行し,徐々に規模を拡大させる(無理な拡大はしない)
(2)管理チームによる会社の管理を徹底し,販売のサプライ・チェーンを構築する
(3)17~18.5%の高効率SEセルの生産を増やしながら,19%を超えるn型セルも開発している
(4)南京と上海に生産拠点を持ち,2009年の生産能力は320MW,2010年は400MWである
(5)製品出荷先(2008年)は,中国国内が53%,輸出が47%である。韓国や日本にも輸出している。

 これらの説明を受ける前に,同社の太陽電池セルや応用製品などの展示物,および同社の説明パネルなどを展示ルームで見学した。その後,セル工程を見学した。ウエハ受け入れ検査から始まり,洗浄,拡散,電極形成,製品選別検査などの太陽電池セル製造工程を,クリーン・ルームの外側から順に見学することができた。写真撮影は許されなかったが,自動化されたクリーン・ルーム内の生産ラインの様子からは,歩留まりや品質を重視する同社の姿勢が伺えた。なお,同社のウェブ・サイトには,クリーン・ルーム内での生産ラインの様子も掲載されている。