実験結果からの仮説

(1)キーボードよりもペンを使って文字を書く方が脳が活性化することは分かっている
(2)今回の実験ではペンを使ってアイデアを図に描き表しているわけだが、前頭葉が活性化される結果になっている
(3)一方、タッチパネルでテキスト入力した場合は、前頭葉はそれほど活性化していない

 ということは、手書きでアイデアを絵で描くことは、前頭葉を含めた脳の活性化を引き起こさせているとも考えられる。また仮説として、iPadを使って指でタッチパネルに絵や図を描きながら思考すれば、前頭葉が活性化する可能性がある。余談だが、こうなるとこの『ウェアラブル光トポグラフィ』 WOT-220を知ったAppleやGoogleは、すぐにでも購入してタッチパネル型PC商品の使用実験にとりかかるのではないだろうか?!

近未来的な脳の解析とその応用

 牧博士はこれからの脳を解明する成果として、意識下の機能、心の定量、注意の機能、ストレスの定量、学習メカニズム、論理的思考、言語機能、並列処理メカニズム等などが社会貢献につながるとして国際的な学会に研究発表をしている(Human Brain Mapping 学会、ヒト脳機など)。

 「例えばALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis)という筋肉が動かなくなる難病の患者さんに対して、脳の一部が反応することを感知することで“Yes”“No”を判定できる装置を開発したのですが、まったく体を動かすことが出来ない患者さんから“Yes”“No”メッセージを感知することができました。これらの研究はやがて高齢者の精神疾患、子ども達の学習面や行動面などの原因究明に役立つことになります。また将来的には考えるだけで機器を操作するブレイン・マシン・インタフェース(BMI)の実現が可能になるでしょう。脳科学とその解明はまだまだこれからなんです」と牧氏の夢はつながっている。

 小生の余命もゆとりがない故、なんとか牧氏の夢を生きているうちに実現してもらいたいものだと思う。高齢社会に突入する日本だが、少しでもBMIが我々の生活に役立ってもらえるよう国家レベルの研究援助を望むばかりだ。