「2010年度中に携帯電話の基地局を倍増」「自宅や店舗、企業向けに小型基地局(フェムトセル)を無償で提供」「無線LAN機能を備えた携帯電話機向けに無償で店舗や企業に無線LANルータや専用回線を提供」「Androidを搭載した新型スマートフォンを発売」…。正直なところ、ユーザーを集めた単なるパーティーくらいに想像していたのだが、いい意味で裏切られた。

 発表内容もさることながら、感銘を覚えたのは動画配信とTwitterの連携が生み出すリアルタイム感である。同じ中継を見ているユーザー同士が、歴史的な発表イベントに参加しているという喜び、そして興奮をTwitterで共有する。多くのユーザーの興奮が共振され、増幅されていたのである。イベントの動画コンテンツとしての面白さだけではなく、その中継をネットで見ているユーザー同士が作った“空気”が、面白さを膨らませていた。

リアルタイム性が生む共創環境

 似たような面白さを生み出す動画配信サービスは、これまでもあった。ドワンゴ子会社のニワンゴが運営する人気の動画共有サービス「ニコニコ動画」である。このサービスでは、視聴者が投稿動画にコメントを書き込んだり、動画の下に成果報酬型(アフィリエイト)広告を投稿したりできる。

 動画へのコメントに加え、動画の下の広告を見た視聴者が「何でこの動画からこんな商品を連想するの?」とさらにコメントを投稿したり、実際に商品を購入する視聴者もいたりする。その商品の売れ行きを見て、また新たなコメントが投稿されたりもする。こうした幾重にも重ねられた視聴者からのフィードバックが、投稿動画の魅力を増幅する。

 コンテンツの魅力が増幅されるという意味では、Ustreamのサービスと同じである。コンテンツの共創行為に参加することによる面白さの増幅スパイラルとでも言えばいいだろうか。

 ただ、二つのサービスには大きな違いが一つある。リアルタイムに時間を共有しているかどうかだ。ニコニコ動画の場合は、基本的にコンテンツの共創行為のために同じ時間帯に参加する必要はない。動画を好きな時間に視聴し、好きなタイミングでコメントを投稿できる。

 一方、Ustreamの場合は、生中継の時間帯に参加していないと共創行為が面白くない。