この不況の中,見えない明日に向けて「どうすりゃいいんだ?」とだれもが悩んでいるのではないだろうか。それを考える第一弾として経済上なくてはならない存在となった中国とどう向き合えばいいのかを考えてみた。

 しかし,私にとっては中国とはいったいどういう国なのか雲をつかむような感じで,中国そのものを脳裏に描けないのだ。たとえば物を売ったり,買ったりしてみようとすると,誰が相手で,どんな生活をしていて,どんな価値観を持ち,何を求めているのか? といった商いの基本であるお客の顔が見えないのだ。分かっていることといえば人口13億人の国で近くて遠い国だというくらいなものなのだ。

 13億と言ってもピンとこないので,日本が13個ある国と考えてみたり,ヨーロッパの人口(約5億8000万人)とアメリカの人口(約3億7000万人)を合体したより多い,と想像してみたりしたのだがやっぱりピンとこない。とにかく想像を超えた巨大国家だということはなんとなく分かるだけだ。

東洋証券・熊谷会長にインタビュー

熊谷会長
東洋証券の熊谷征男会長

 そこでまず,中国とは何? これから何をしようとしている? 日本企業はどうしている? を知ろうと,中国に詳しい東洋証券の熊谷征男会長に,中国の現状と胡錦濤国家主席が率いる国家ビジョンをわかりやすく解説していただいた。その内容の中核をなす言葉として「中」という漢字で表してみた。それは

(1)中間層の消費活性化
(2)内陸都市の活性化
(3)内需拡大を計り世界の工場という輸出国から消費国への進展

――という「三つの中」である(後ろの二つに関しては,「内」を「中」と捉えた)。中国ニュースを「3中」でよみとくと,中国が何を目指してそうしているのか,どう向き合っていけばいいのかが分かるようになってきた。