中間管理職はリストラ縛りで積極的行動に出られず、若手社員はまだまだ実力不足で、結局のところ「ものづくりニッポン」という技術一点張りに落ち着く。「日本のビジネスマンは優秀なのに、時代が急変して目の付けどころが変わったことに気づいていない。マズいぞこれは、俺の老後が心配だ」。そう思った。

 Google関係者に電動スケボーを記事にしていいか、とtwitterでつぶやいたら「いいですよ。だってスマートグリッドという新しいエネルギー革命が始まるのは自明の理だし、いずれにしろ持ち運べる蓄電バッテリーは、Googleに限らず多くのメーカーからいろいろな新商品となって販売されることは目に見えてますから。この種の商品は生活を維持する循環型消費材だから、儲けるたぐいの商品ではないと思います。もともとエネルギーの分野は、物品でビジネスするのとは違いますからね、限られた資源エネルギーから循環エネルギーに変換する挑戦は、誰がやってもいいんですよ」と書き込みがあった。

 「次の日本経済を立て直せるのはこんな洞察力のあるビジネスマンなんだよな」とTwitterでつぶやいた。そしたら、国外で活躍する日本人たちから「そうそう」と声があがった。ココで言いたいのはエネルギービジネスのことではなく、新たな目の付けどころのことだ。日本企業が再起するには,そもそもの目の付け所を変えなきゃダメなんじゃないか。だから今度の連載では、その『目の付けどころ』を紹介していきたいと思うに至った。

 何も偉そうに「これをやれば経済後退の突破口になる」と言い切るつもりはない。これも一種の挑戦だ。あれこれ仮説を立て、その筋の達人に話を聞き、できることなら現場に行って、目の付けどころのヒントを発見しようと考えている。いわば新ビジネスの探検家である。実際、この半年間に会った方々には「我々の知らない中国とどう向き合えばいいかを知る人」「世界的な教育事情から日本の次世代教育を模索する人」「農業の構造と次世代農業はいかにあるべきかが見え始めている人」「冒険ノウハウからブレイクスルーノウハウを伝えようとしている人」など,次の時代のヒントを教えてくださった方が多い。探検家の先輩たちには,日本企業が気付いていない新ビジネスの芽が見えるのだ。

 また、これからの時代はBRICs(Brazil、Russia、India、China)とかVISTA(Vietnam、Indonesia、South Africa、Turkey、Argentina)だとメディアでは毎日のように話題にのぼる。ところが、各地の出身者で日本在住の方々に話を伺うと,現地の感覚と違っていることが多い。むしろ意外とすんなりと日本とのビジネスが見えることがかなりある。あとは現地に行って自分の五感で確かめればいいと思うのだ。行き詰まった日本市場だけをターゲットするのではなく、未成熟で可能性のある海外市場に足を運ぶことが日本の明日を作ると見えるのだ。

 そんなように,これからの連載は実践的知識のある方々と放談することでヒントを探す旅を考えている。