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HOMEエレクトロニクス電子デバイスディスプレイ技術の最前線 > 有機TFTの実用化

ディスプレイ技術の最前線

有機TFTの実用化

  • 松枝 洋二郎=松枝コンサルティング
  • 2010/04/07 21:34
  • 1/3ページ

 大きな注目を集めていた米Plastic Logic社の世界初の有機TFT駆動の電子書籍端末の出荷が2010年夏に延期されたそうである(Tech-On!関連記事1)。FPDの新たな可能性を切り開く商品として期待していたので大変残念だが,正直なところやはり有機TFTの本格量産には時期尚早だったのではないだろうか。なぜ有機TFTが必要なのか。本当に有機TFTでなければならないのだろうか。そう考えると様々な疑問がわいてくる。

 Plastic Logic社は,2009年6月に開催されたディスプレイ分野最大の学会「SID」で基調講演している。その発表資料によると,同社の製造プロセスでは安価なPET(polyethylene terephthalate)基板が使用可能であり,標準的なFPD生産設備を用いたプリンティング・プロセスで有機TFTアレイを製造できるという。ひずみ補正技術により大型化も可能だと主張している(同関連記事2)。しかし,具体的な技術内容が公開されていないので詳細は不明である。

 参考までに2005年に開催されたディスプレイ関連の学会「IDW/AD'05」の発表論文では,PET基板上にポリフルオレン系の有機半導体層を形成し,その上にポリマー絶縁膜を塗布してTFTを作成している。画素電極にも導電性ポリマー(PEDOT/PSS)を用いており,すべて塗布プロセスで直接プリンティングするという極めて前衛的な技術である。もしこの技術を基に量産を開始しているとすれば,よほど劇的なブレークスルーがあったのだと思う。ただ,FPDに長年携わってきた感覚からすると,コストや信頼性をクリアして本格的な普及に至るまでには相当時間がかかると思われる。

有機TFTの応用範囲

 これまで有機TFTの様々な応用が研究されてきているが,実際どのような分野なら無機TFTには実現できない強みが発揮できるのだろうか。図1は,有機TFTの応用分野を,組み合わせる技術によって大まかに分類したものである。この図では,下に行くほど技術的な難易度が高くなっている(TFTに要求される性能が厳しくなる)。

図1 有機TFTの応用範囲
著者が作成。
[画像のクリックで拡大表示]

 やはり一番期待できるのは電気泳動ディスプレイ(EPD:electrophoretic display)との組み合わせによるフレキシブル電子ペーパーへの応用である。電気泳動ディスプレイの場合,動画表示を前提としていないため液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)よりオン電流の要求値が低く,しかも書き換え回数がLCDよりケタ違いに少ないので駆動条件による特性劣化も大幅に緩和される。LCDにも応用することは可能だが,EPDほどのメリットはないと思われる。

 有機EL(OLED:organic light emitting diode)ディスプレイへの応用には,特性の大幅な改善が必要だろう。無線回路への応用はコストと性能の要求が劇的に厳しくなる。

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