図1●国内家電量販店における販売金額相対値推移(2009年1月第1週〜2010年2月第4週実績)。GfK Japanは2010年1月第1週から調査パネル店舗を拡充した。2010年1月第1週以降の対前年同週比は新しいパネル店の2009年実績と比較している。また,前年同週比成長率もパネル店を変更したため,厳密な意味での連続性はない。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
図1●国内家電量販店における販売金額相対値推移(2009年1月第1週〜2010年2月第4週実績)。GfK Japanは2010年1月第1週から調査パネル店舗を拡充した。2010年1月第1週以降の対前年同週比は新しいパネル店の2009年実績と比較している。また,前年同週比成長率もパネル店を変更したため,厳密な意味での連続性はない。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
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図2●国内家電量販店におけるデジタル家電主要5分野の販売金額成長率推移(2009年1月第1週〜2010年2月第4週実績)。GfK Japanは2010年1月第1週から調査パネル店舗を拡充した。対前年同週比は同じパネル店同士の前年同週と比較しているが,厳密な意味での連続性はない。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
図2●国内家電量販店におけるデジタル家電主要5分野の販売金額成長率推移(2009年1月第1週〜2010年2月第4週実績)。GfK Japanは2010年1月第1週から調査パネル店舗を拡充した。対前年同週比は同じパネル店同士の前年同週と比較しているが,厳密な意味での連続性はない。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
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図3●国内家電量販店で販売された37型以上の薄型テレビに占めるLEDバックライト機の台数構成比と金額構成比(2008年4月〜2010年1月実績)。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
図3●国内家電量販店で販売された37型以上の薄型テレビに占めるLEDバックライト機の台数構成比と金額構成比(2008年4月〜2010年1月実績)。出所:GfK Japan,(2010年2月)。
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 2009年の年末から2010年の年初にかけての国内デジタル家電販売は,薄型テレビを中心とする「AV家電」分野が市場をけん引して,比較的好調に推移したことが明らかになった。日経マーケット・アクセスがGfK Japan(ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン)の協力を得て毎週報告している国内家電量販店を中心とした販売実績「日経BP・GfK INDEX」の推移を分析した結果である。

 まず2009年1月~2010年2月の期間で,家電全体の販売金額の対前年同週比成長率を週単位*1で見ると,61週間のうち51週は前年同週と同等かそれ以上の成長である(図1)。うち対前年同週比で10%以上販売金額が伸びたのが17週だった。販売が伸びる夏のボーナス・シーズンでは世界不況や冷夏の影響で,7月~8月にかけて販売金額は前年をやや下回ったが,3月の新年度前商戦や11月~12月にかけての年末商戦期は前年同期を上回った。前年2008年末は世界不況の影響で年末商戦の販売金額成長率が伸び悩んだので,この反動もあって成長率が高くなった面があるが,世界不況前の2007年年末に比べても2009年の年末商戦は金額ベースで5%以上,上回ったと見てよさそうだ。

エコポイント導入の09年5月以降,成長率が上昇した薄型テレビ

 デジタル機器以外の家電を含む全体動向を示した図1を,五つの分野*2に分けて,前年同週と比較したものを図2に示す。薄型テレビやビデオ・レコーダー,音響機器などで構成するAV家電分野の金額成長率が際だって高く,その勢いを2009年年初から2010年2月までほぼ保っていることが分かる。

 そのAV家電分野で販売の主力となっているのが薄型テレビである。GfK Japanによると,2009年通年では家電量販店の販売金額のうち約2割をテレビが占めており,その構成比は上昇傾向にある。直近では約3割に達する勢いだと言う。AV家電分野の販売金額は,2009年4月に成長率が一時的に大きく減少したが,これは同分野に含まれる薄型テレビを対象とした「家電エコポイント制度」が公表され,5月15日の実施前に買い控えが起こったため。同制度施行後は1月から3月の成長率を上回る対前年同週比20~30%増程度で推移し,2010年に入ってからもその勢いが持続している。

37型以上の液晶テレビ,倍速は完全普及,LEDはこれから

 薄型テレビの販売台数がテレビ全体に占める比率は,2009年末に99%近くに達した。うち,9割以上が液晶テレビである。液晶テレビを画面サイズ別に見ると,売れ筋は32型である。構成比は約1/3のまま変化していないが,低価格機の構成比が増しつつある。より大画面では従来の37型や42型が徐々に40型に収れんする動きが見られる。

 37型以上では2009年後半には液晶の画素表示を映像信号の切り替えよりも高速に行う倍速駆動がほぼ行き渡った。倍速駆動は,より小型で売れ筋の32型への普及が進みつつあり,その25%程度を占めるようになった。

 もう一つ新しい液晶テレビの要素技術として注目されるのがLED(発光ダイオード)バックライトの採用だ。国内市場は2009年11月にようやく立ち上がり始めた状況にある。32型以下への採用はまだないが,37型以上に占めるLEDバックライト搭載機の比率は台数ベースで2%台,金額ベースで5%を超えた(図-3)。世界全体では2010年に入って,台数ベースでも5%程度の販売構成比を占めるようになったのに比べて,国内市場での普及ペースは現段階では鈍い。これは,2009年に中級機市場にまでLEDバックライト機を積極的に投入した韓国サムスン電子が,日本国内市場から事実上撤退してしまったからである。2010年にはシャープ,東芝,ソニーなど主力メーカーがLEDバックライト搭載機を本格的に投入するので急速に構成比は増えるだろう。

 米国でのLEDバックライト装備機と従来型冷陰極線バックライト機の価格差は,40型では350米ドル程度,32型では150~200米ドル程度である。日本では2010年年初に,40型で約4万円ほど高いレベルにまで下がってきた。今後どの程度安価になるのかで,台数構成比1割,金額構成比2割を突破できるかどうかが左右されそうだ。

*1 「日経BP・GfK INDEX」では,毎週月曜日から翌日曜日までの7日間を1週間として集計している。また,毎月1日が含まれる週を「第1週」として定義する。2009年1月第1週は2008年12月29日~2009年1月4日,2010年1月第1週は2009年12月28日~2010年1月3日である。なお,2009年の対前年比較に用いた2008年では,1月第1週は2007年12月31日~2008年1月6日である。
*2 5分野とそれに含まれる製品は次の通り。

AV家電:カラー・テレビ,テレビ・チューナー,据え置きビデオ,DVDプレーヤー,DVDレコーダー,BS・CSチューナー,ステレオ・セット,スピーカー,ラジカセ,ヘッドホン・ステレオ,電子楽器など。

情報家電:パソコン,パソコン用ディスプレイ,ハード・ディスク装置(HDD),プリンター,モデム,ターミナル・アダプター,スキャナー,USBメモリー,グラフィック・ボード,ゲーム機,電子辞書など。

通信家電:電話機,コードレスホン,ファクシミリ,携帯電話機,PHSなど。

イメージング家電:ビデオ・カメラ,デジタル・スチル・カメラ,フィルム・カメラ,交換レンズなど。

生活家電:冷蔵庫,電子レンジ,炊飯ジャー,電気プレート,ミキサー,コーヒー・メーカー,食器洗い機,浄水機,洗濯機,布団乾燥機,アイロン,掃除機,エアコン,扇風機,石油暖房器具,こたつ,電気カーペット,照明器具,シェーバー,ドライヤー,電動歯ブラシ,電気マッサージ器具など。