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さよならハッピー・ワーカー

仲森 智博
2010/03/26 12:00
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 「どーですか最近」と、コンサルタントをやっている知人に聞いてみたら、意外なことに「この不況でさすがに価格交渉は厳しくなったけど、依頼は逆に増えてきているかも」などという答えが返ってきた。「まあ、それだけ危機感が強まっているということかなぁ」と。

 考えてみれば、私たちはこのところずーっと、危機感を抱きっぱなしである。バブル経済の崩壊でえらいことになって、ちっとも回復できないまま日本は長期にわたる不況期に突入し、後に「失われた10年」とか「いや20年」とか呼ばれることになった。「このままではマジヤバイかも」と多くの企業が危機感のボルテージを上げ、新興国の目覚しい躍進ぶりを目の当たりにしてそれが一層高まり、世界不況の到来でとうとう沸点に達したということか。

 「大変だぁ」ということで、多くの企業が現状を打破すべく「改革」をぶち上げた。節目では大規模なリストラを断行し、継続的に優良とされる企業を手本として学び、さらにはコンサルタントの指導を受け、給与制度改革の一環としての成果主義の導入、シックスシグマ、R&Dマネージメントにおけるステージゲート法、業務の可視化など、各種改善運動を繰り広げ、業務効率化、コスト削減のための改革手法を導入し・・・。

だから技術経営、だったはず

 「よーし、われわれも」ということでここ10年近く、「技術経営」を看板に掲げ、優れた企業戦略とそれを実現するための手法を広めるという仕事に、思い入れをもって取り組んできたつもりでいる。「お前ごときが世間の役に立つ何ごとかできると思うとは、何と傲慢な」とお叱りを受けそうだが、本人は至って真剣であった。多くの技術者たちが「技術はスゴいんだけどカネ儲けがヘタでねぇ」と言いつつ低い待遇に甘んじている状況は、元技術者の自分からすれば到底納得できるものではなく、「だったら、技術の優位性に見合うだけの収益力を手に入れればいいじゃん」と考え、「そうすれば技術者の処遇は改善し、多くの人がさらに意欲を高めつつスゴい仕事に挑むようになるはず」などと期待したのである。

 私がというより、多くの方が同じことを考えていたはずである。経済産業省は今年2月にまとめた『日本の産業を巡る現状と課題』の中で、「主な検討事項(予定)」として真っ先に「なぜ、技術で勝って、事業や利益で負けるのか?」という項目を挙げていたらしい。けど、お役所はともかく、民間では「それこそ問題だ」という意識はずっと以前から多くの方に共有されていたように思う。

 で、「改革」である。大きくは雇用を見直し、体制を変え、ミクロにはさまざまな手法を導入し職場で展開した。こうして改革は日常の風景となり、ある部分で日本の企業はすっかり面目を一新したのである。

 で、何かよくなったのだろうか。

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