地球温暖化対策基本法案の閣議決定

 3月12日に地球温暖化対策基本法案が閣議決定(政府決定)された。昨年秋に鳩山首相が国連で宣言した「CO2の1990年レベル25%削減」を実現するための枠組みを決めるための法律である。この法案、2月末に初めて環境省以外の省庁や私を含む国会議員に公開され、なんと2週間程度で調整してしまうという今までにないパターンで打ち出された。

 ちなみに私は1995年に「省エネ・リサイクル推進法」という法案を担当したが、他省庁との条文の調整には数カ月がかかった。法律案作成から成立まで半年であったから法案作成作業のほとんどが他省庁との調整だった(例えば、建材のリサイクルは当時の建設省との調整が必要となる)。それがなんと2週間で調整をしてしまった。役人出身の私にとっては新しい法律作成のプロセスだった。

あまりにも険しい25%削減への道

 私は、民主党地球温暖化対策本部前事務局次長をやっており、また、「明確なロードマップがなければ25%削減は打ち出すべきではない」と主張していたこともあり、この法案には産業界から多くの意見をいただいた。鉄鋼業界、化学業界、電力業界の方々などは特に「国内排出権取引制度の創設」に反対であり、キャップ&トレードが国内取引であっても絶対許されないとの態度であった。

 当然のことながら、25%削減を達成することは半端ではない。下の図は昨年夏に政府が作成したものであるが、ほとんどの家に太陽光発電を設置し、家をすべて断熱ハウスにし、販売する自動車のほぼすべてを電気自動車などのクリーンカーにしても(トラックはどうするのか?)25%削減は実現できず、結局は製鉄やセメントの生産量を落とさなければならない。

出典:内閣府資料
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 結局、地球温暖化対策基本法は、国会議員や政府間の調整を経て、国内排出権取引制度は「国内排出量取引制度の創設(法制上の措置について、施行後1年以内を目途に成案を得る)」と書き換えられ、合意された。本当は12日には閣議決定できないような雲行きだったものを鳩山総理が決めたと聞いている。

 地球温暖化対策基本法案はこの6月までに成立する見込みである。

出典:環境省資料
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